介護現場で罵声 コロナとハンセン病で重なる冷たい視線

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森岡航平 聞き手・松田果穂
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 「訪問先で入室を断られ、罵声を浴びせられた」「(感染の)発生源ではないかと問い合わせを多く受けた」――。新型コロナウイルスの感染拡大の影響について、群馬県玉村町の福祉事業者らの声を「玉村地区地域包括ケアネットワーク会議」がまとめた。介護現場での風評被害が浮かび上がった。

 町内の訪問、通所介護や老人ホームなど78の事業所のうち、74事業所が経験談を寄せた。

 隣接する伊勢崎市有料老人ホーム「藤和の苑」で集団感染が発生し、玉村町でも特定非営利活動法人「プラムの森」の職員4人が相次いで感染。当初、県は法人名を非公表としたため、根拠のない臆測や偏見が広がった。町内の事業所というだけで介護サービスの提供を断られたり、町外の事業者からサービスを利用できなくなったりする例があったという。

 同会議はこれらをもとに、福祉事業者への正確な情報開示や、風評被害の払拭(ふっしょく)と救済などを求める要望書を4月20日に県と町へ提出した。事務局の小林一幸さんは「いつどこの事業所で感染者が出てもおかしくない。事業所が置かれている厳しい現状を知ってもらいたい」と話す。(森岡航平)

国の強制隔離政策で被害を受けた元患者らの名誉回復などのため、群馬県草津町の国立ハンセン病療養所「栗生楽泉園」内に2014年4月に設けられた「重監房資料館」。黒尾和久部長は、新型コロナとハンセン病で、社会復帰してから向けられる冷たい視線が似ていると指摘します。

重監房資料館・黒尾和久部長に聞く

 新型コロナウイルスの感染者が自宅に石を投げられる。個人を特定されて中傷を受け、引っ越しを余儀なくされる――。報じられているこれらの状況は、ハンセン病患者がこれまで世間から受けてきた仕打ちと大きく重なります。

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 医療従事者やその家族が差別…

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