厳戒の離島「重大局面」 わずかな病床に医療崩壊の足音

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榎本瑞希 小瀬康太郎 岡田将平
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 新型コロナウイルスの感染拡大に、離島の自治体や住民が警戒を強めている。感染症病床はわずかで、感染が増えれば医療崩壊を招きかねない。来島自粛を求めていた観光客らを再び迎えるため、具体的な対策を示した自治体もある。

 人口約2万6千人の離島、長崎県壱岐市では4月1~5日、立て続けに5人の感染が確認された。

 《新型コロナウイルス感染者が確認されました》

 《極めて重大な局面を迎えています》

 市の防災放送が新たな感染や濃厚接触者の検査結果を伝えるたび、住民の男性(77)は自宅の冷蔵庫の上にあるスピーカーに向かって耳を澄ませた。「家の近くで感染者が出ないか、怖くて」。福岡市の病院を受診する予定はキャンセルし、妻も自宅で開く華道教室を4月いっぱい休んで、島から2カ月以上、出ていない。

 約50ある県内の有人離島に体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))は1台もない。壱岐市では、重篤化のおそれがあった70代の女性が自衛隊ヘリで本土へ搬送された。島唯一の感染症指定医療機関で受け入れられるのは10床ほど。県の担当者は「病床を増やすことはできるが、とても手が足りない。院内での感染防止にも想像以上に気を使う」と打ち明ける。

院内感染なら病院は完全まひ」

 鹿児島市の南約500キロに浮かぶ沖永良部島では4月、1人の感染が判明した。感染症指定医療機関はなく、一般の医療機関に一つだけある感染症対応の病室で受け入れた。通常の診療エリアとは分け、医師らが防護服を着る専用スペースを設置。PCR検査のため接触者の検体を採取する作業にも追われた。

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 「重症者が増えたら手が回ら…

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