感染の田嶋会長をまず「隔離した」 医師の妻の冷静対応

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聞き手・伊木緑
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 家族に新型コロナウイルス感染の疑いが生じた時や自分が濃厚接触者になった場合、どうすればいいのか――。感染を公表した日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(62)の妻で、スポーツドクターの土肥美智子医師(54)に経験を聞いた。

 ――田嶋さんの感染はどのような経緯でわかったのでしょうか。

 3月14日夜、帰宅した田嶋は玄関からそのまま自室に向かいました。しばらくして「微熱がある」と、リビングにいる私に電話がかかってきました。同居の母(86)もいるので「部屋から出ないで」と伝えました。8日に欧州と米国への出張から帰国したこともあり、感染の可能性はあると考え、隔離することにしました。

 食事は距離を取って受け渡して自室で食べてもらい、食後の食器は部屋の外に出してもらいました。お風呂やトイレもタイミングをはかって使い、家の中でもすれ違わないようにしました。

 翌日の夜も発熱したため、週明けの16日朝に保健所に相談。指定された病院で診察・検査を受け、17日に陽性が判明しました。

 保健所からは公共交通機関を使わないように指示されたので私が運転する車で送りました。マスクを着け、少しでも遠い後部座席の対角の席に座ってもらいました。降ろして帰宅した後は、次亜塩素酸ナトリウム液(家庭用塩素系漂白剤)で車内を消毒しました。これは遠征先やクリニックなどでインフルエンザノロウイルス感染者が出た場合も同じです。

 マンションのエレベーターのボタンやドアノブ、手すりなど田嶋が触れた可能性があるところはふきました。さらに管理組合の判断で、業者に頼んで消毒することになりました。保健所の指導ではなく、あくまで安心のため。感染を公表したので、マンションの住民の方にはメールで詳細をお知らせしました。

2週間、外出は人少ない夜に

 ――土肥さんとお母さんが濃厚接触者と認定されました。それでもPCR検査を受けられないことに当時は驚いたそうですね。

 判断は悩むところだと思います。検査できればもちろん安心ですが、陽性か陰性の判断には検査のタイミングもありますし、現場の負荷を考えれば、いまの医療体制では難しい。症状がない限り、2週間きちんと家にいて体調管理をすれば十分だと納得しました。検査してほしいという気持ちはわかりますが、社会貢献だと思って2週間我慢すればいいことです。

 ――結果的に、家庭内での感染はまぬがれました。

 自宅待機の最終日、知り合いの医師に抗体検査をしてもらいました。抗体はなかったので、感染していなかったということ。濃厚接触者だった方すべてが受けられる環境は整っていませんが、医療従事者が職場に復帰する前の安心材料として、一つの方法ではあると思います。

 ――2週間はどんな生活だったのですか。

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