スマホをヤギに フィジー伝統の交換文化、コロナで加速

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シドニー=小暮哲夫
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 太平洋の島国フィジーで新型コロナウイルスへの危機意識が高まるなか、昔ながらの物々交換が活発になっている。失業者も出る厳しい状況で助け合いをと、フェイスブックのページが立ち上がると、国民の9人に1人が参加。手作りのお菓子からペットまで、様々な「とりかえっこ」が成立している。

 「よりよいフィジーのための物々交換」という名のページを、首都スバの女性が立ち上げたのは4月21日。国内では感染者が18人出ており、学校は休校に。映画館やジム、プールなどが閉鎖され、夜間の外出禁止令が続く。外国からの航空便が欠航になり、観光業も大きな打撃を受けているなか、「お金を使わずに、必要なものを交換しよう」と呼びかけた。

 とくに農村部では物々交換の習慣が続いている土地柄で、ページは一気に広まり、参加者は人口約90万人の国で12万人を超えた。交換するものや欲しいものを投稿し、連絡を取り合う。小麦粉や鶏肉、タロイモや釣った魚、洋服や靴、アクセサリーのほか、子犬と猫の「取引」もあった。

 スバの女性、カル・ウィッピーさんはスマートフォンの端末を、メスのヤギに換えた。「乳を飲めるし、庭の草を食べてもくれる」。家族で経営していたゲストハウスの営業を縮小しなければならなくなって生活は厳しいが、「交換するとき、握手もハグもできないけれど、温かい笑顔で心がほっとする」と語る。

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