レムデシビル、異例の早期承認 副作用や耐性化に懸念も

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土肥修一 嘉幡久敬 服部尚
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 抗ウイルス薬レムデシビルについて、厚生労働省は7日、新型コロナウイルスの治療薬としての製造販売を特例承認した。新型コロナの治療薬が国内で承認されるのは初めてとなる。対象は、原則として人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使うなどしている重症のコロナ患者とした。

 レムデシビルはエボラ出血熱の治療をめざして開発された注射薬。新型コロナに感染した人への治療については、米食品医薬品局(FDA)が1日に重症の入院患者を対象に緊急時の使用を許可した。

 これを受け、日本政府は海外で販売されるなどした医薬品について、国内の薬事承認の審査を簡略化できる特例承認の対象とした。2009~10年に新型インフルエンザが流行した際は、英国とスイスの企業のワクチンがこの制度で承認されている。

 製造する米医薬大手ギリアド・サイエンシズの日本法人から厚労省に承認申請が出されたのは今月4日。申請から3日間という異例のスピードで承認されることとなった。

 投与期間は10日間まで。副作用としては急性腎障害、肝機能障害などをあげている。使う前には患者らの文書による同意を必要とし、可能な限り全症例について副作用などの報告をギリアド社に求めた。

 ギリアド社は、世界で14万人分(約150万回分)を無償で提供することを決めていて、日本でも承認後、患者への投与は無償となる見込み。

 ギリアド社は今秋までに50万人分、年内には100万人分を生産する目標を掲げている。ただ、日本への供給量が限られるおそれがあり、厚労省は当面の間、国が薬の配分を管理し、重症患者を治療する医療機関に配る方針だ。(土肥修一)

「拙速感は否めない」不安視する声も

 レムデシビルはエボラ出血熱の治療薬としては、安全性と有効性が立証されず、どの国でも承認されていない。ただ、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の原因となるコロナウイルスに対し、動物実験で効果が確認され、新型コロナでも動物実験による有効性を示すデータが得られ、人での臨床試験が進んでいる。

 米国では米国立保健研究所(NIH)が4月29日、1063人に対する臨床試験の結果を発表。症状改善までの日数は、薬を含まない偽薬の群が平均15日に対してレムデシビルは平均11日で、統計的な有意差がみられた。

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 一方、中国などのグループに…

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