広がる地域格差、拝金主義の影…写真で見る素顔の北朝鮮

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編集委員・牧野愛博
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 北朝鮮の各地で昨年秋から冬にかけて撮影された様々な写真を、朝日新聞は入手した。国際社会による制裁の影響、広がる首都・平壌と地方の格差、あちこちに差す拝金主義の影など、閉ざされた社会の一端を垣間見ることができる。(編集委員・牧野愛博)

 海岸沿いに、建設中の高層ビルが見える。赤地に白抜きで「総攻撃戦」「総決死戦」のスローガンが目立つ建物は、窓ガラスのはめ込みも内装工事もまだのようだ。他の建造物もほぼ同じような状況だった。

 日本海側の江原道元山(カンウォンドウォンサン)にある葛麻(カルマ)海岸観光地区。最高指導者である金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が繰り返し、完成を急がせている施設の昨年秋の様子だ。その後、北朝鮮から完成したとの報道は伝えられていない。

 正恩氏は2018年1月の新年あいさつで「今年、建設を最短期間内に完工する」と約束していた。当初は同年4月15日の金日成(キムイルソン)主席の生誕記念日が完成予定だったが、難航。9月9日の建国70周年記念日に延期後、さらに10月10日の労働党創建記念日に延期され、この状態に陥っていた。

 地区の開発を任されたのは北朝鮮で最も優遇され、外貨も豊富とされてきた北朝鮮軍だった。各地で撮影された軍人の姿や建設現場の宿舎などを見る限り、国際社会の制裁で軍も資金不足に苦しんでいるようだ。

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