消える仕事、迫り来る感染 移民の「逆流」が始まった

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サンパウロ=岡田玄 高野裕介=ドバイ 奈良部健 バンコク=染田屋竜太 貝瀬秋彦 ハノイ=宋光祐 ドバイ=高野裕介
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 新型コロナウイルスの大流行は、世界各地の移民や出稼ぎの労働者を直撃した。収入減や解雇が相次ぎ、母国へ帰る「逆流」も始まった。仕送りに頼ってきた途上国の家族は貧困の縁に立たされている。

命がけで国境越えたのに

 「仕事がなければニューヨークに居続ける理由はない。でも、これからどう暮らせばいいのか。とても不安だ」。中米グアテマラの首都近くにある実家に戻ったナンシー・サンタレンさん(33)は4月21日、電話越しに語った。

 3人の子を母親に預け、仕事を求めて1年半前に渡米。近代美術館近くのカフェで店員の仕事を得た。給料は不法滞在を理由に安くされて月1200ドル(約13万円)ほど。米国での家賃や生活費を引いて、毎月2割程度を子どもたちに送金した。

 カフェには美術館を訪れる観光客や周辺で働く人たちがひっきりなしに訪れていた。だが、新型コロナウイルスの感染が広がると、まず美術館が閉まり、客が激減。続いて周囲の店や事務所も閉じた。店主は「法律で決まった」と言って営業をやめるとともに、サンタレンさんを解雇した。グアテマラに向かう飛行機が減る中、米政府の手配で飛んだ航空便に料金を払って搭乗し、4月3日に帰国した。

 グアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスなど中米の最貧国からは、豊かな暮らしを求めて、多くの人たちが米国に移民してきた。

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