仲本工事さんが振り返るドリフ 「今もみなさんの中に」

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聞き手・原島由美子
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 タレントの志村けんさんが3月29日に新型コロナウイルスで亡くなった。ザ・ドリフターズのメンバーとして志村さんと共に活躍した仲本工事さんは3月中旬、朝日新聞のインタビューでドリフの思い出などを語っていた。「自粛」続きの生活を強いられている今、往年のコントを見直すと、トゲだっていた心がまあるくなり、笑いの力を再認識できる。仲本さんが語ったドリフのコントやメンバーの裏話を紹介する。

(インタビューは3月12日、東京都内で実施)

 ――幼少時、国民的番組「8時だョ!全員集合」を、毎週土曜夜に家族そろって見ていました。小学生の娘はDVDで初めて見て大笑い。時代や世代を超えた笑いです。

 「僕らのコントのテーマはほとんど日常生活からで、言葉と動作が一緒なんです。わかりやすいから親子でも同じ気持ちで溶け込めるのでしょう。メンバーの役割も学校だと先生から劣等生、会社だと社長から平社員などと、トップから五番手まで決まっている。最後に下っ端だったり息子だったりする僕らが、トップのいかりやさんをやっつけるから共感を呼ぶし、おもしろい」

 「僕らもいかりやさんも本当に楽しんでやっているから、健康的な笑いになる。信頼関係がないとできないし、自分たちがおもしろいな、と思うことしかやっていない。だから長続きしたんです」

 ――生放送なのに、すごく丁寧にセットをつくって。1週間でどう準備されたのですか。

 「毎週、木曜の全体ミーティングで次週に何をやるか決めます。それを脚本家が翌週の金曜までに台本として書いてくる。その間に大道具や小道具さんも一緒に会議して、セットを決めていきます。金曜に何もないスタジオで7、8回くらい立ち稽古。土曜は朝から3回けいこを繰り返し、午後8時から本番。10回以上はけいこをして本番になります」

 「大道具さんも小道具さんもずーっと16年間、一緒で変わらなかった。だから全員があうんの呼吸で、生放送でも間違いや事故がなく、できたんですよ」

 ――全身が壁にぶつかったり、頭に何回もタライや一斗缶が落ちてきたりと、まさに体当たりコントでした。痛くなかったですか?

 「『痛そう』だから、『おもしろそう』なんです。中途半端じゃ、笑いがとれません。がーんと落ちた時に、どーんとウケれば痛さは解消します。仕掛けなしで、ちゃんと同時に落ちないといけないから落とす方が難しい。本番前に3回は練習しました」

 「笑いというのは、何でも本物じゃないと深くならない。だから何度もけいこする。例えば歌舞伎をモチーフにしたコントでは、ちゃんと歌舞伎役者さんに来てもらって、せりふ回しや動作などもちゃんと教えてもらったんです。見よう見まねでやっているわけじゃないの」

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 「ドリフは元々バンドですか…

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