コロナで「収入は完全にゼロ」 派遣添乗員のいま

有料記事働くってなんですか

榊原謙
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働くってなんですか

 いま、いろんな仕事が失われようとしています。飲食や宿泊、観光などの業種では倒産や解雇も目立っています。とりわけ厳しいのが旅行業界です。国内外のツアーは大型連休を含め軒並みキャンセル。ツアーを支えてきた派遣添乗員たちからは「収入ゼロ」の悲鳴があがる。ツアーの期間だけ雇用契約を結ぶ不安定な働き方が、問題をより深刻にしています。

 今年3月初め。海外ツアーの派遣添乗員として20年以上のキャリアがある40代の男性は、スーツケースを持って自宅を出ようとしていたところに登録する派遣会社から電話がかかってきた。

 「空港には行かなくていい」

 直前になってツアーを主催する旅行会社がキャンセルを決めたのだ。続いて3月後半のイタリアツアーも中止に。その後も4月に3件、5月に1件の海外ツアーが全て取りやめになった。男性はこう嘆く。「1カ月丸々日本にいるなんて20年ぶり」

 いま、いろんな仕事が失われようとしています。飲食や宿泊、観光などの業種では倒産や解雇も目立っています。とりわけ厳しいのが旅行業界です。国内外のツアーは大型連休を含め軒並みキャンセル。ツアーを支えてきた派遣添乗員たちからは「収入ゼロ」の悲鳴があがる。ツアーの期間だけ雇用契約を結ぶ不安定な働き方が、問題をより深刻にしています。

 取りやめに伴う男性の損失は計100万円にのぼる。「添乗関係の収入は何もない。完全にゼロです」。生活費はかさみ、親の事業のために借りたお金の返済もある。当面は物流会社の倉庫でアルバイトをしてしのぐ。心配した妹からはレトルト食品やパスタが送られてきた。

 いまはほぼ全てのツアーがなくなり、再開のめどは立たない。業界では「3カ月間は添乗員の仕事はなく収入がゼロという状態が続く」(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会の後藤常康会長)との見方がある。

 男性は派遣会社に「自分にも生活がある」としてキャンセルに見合う補償を求めた。だが、派遣会社は「お金の出どころがない」などとして応じてくれない。これまでも休業補償がされたことはなく、男性は「以前から派遣会社となあなあの関係でここまできてしまった」。結局、泣き寝入りを強いられている。

■ツアーの期間だけ雇用契約…

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