新型コロナウイルスに感染した疑いがある人を救急車で搬送した例が、宮城県内で34件(4月29日現在)あることが県の調べでわかった。名取市や仙台市では、受け入れを断る病院が相次ぎ、病院探しに2~4時間かかった例があった。搬送の現場も感染防止に神経をとがらせている。
4月6日朝、名取市消防本部に119番通報があった。50代の男性が、4日前から発熱や全身の倦怠(けんたい)感などを発症。市内では初めての疑い例で、救急隊員3人が感染防護衣を着て出動した。
隊員は男性から状況を聞き取って、県の感染症指定医療機関に連絡。断られたため、近隣の総合病院などに電話をかけ続け、9カ所目で受け入れてもらえることになったという。病院探しに要したのは1時間48分。そこから病院に向かったため、さらに数十分かかったとみられる。この病院が帰国者・接触者相談センターに相談し、PCR検査を実施。翌日に陽性と判明した。
県の指定医療機関(7病院29床)に感染の疑いのある患者全員を受け入れる余裕はない。このため、協力病院の態勢整備が進められているが、自治体消防はどこが受け入れ可能かを知らされていないという。こうした問題について、山田司郎名取市長が県知事と市町村長との会議で提起。県消防課は「感染拡大が続けば、同様の事例が出かねない」としている。
また、仙台市消防局でも保健所による病院の調整に時間がかかり、119番通報から病院に搬送されるまで、4時間16分かかった例があった。その間、救急車は現場に待機せざるを得なかったという。
新型コロナに対応する救急隊の資機材不足も懸念材料だ。仙台市はN95マスクの入荷見込みが立たず、不安を抱える。名取市消防本部では、使い捨ての特別な感染防護衣81着を備蓄していたが、すでに6着使用。急きょ注文したが、数週間待ちと言われたという。
同本部総務課の今野善樹課長補佐は「市民を守るため、消防は絶対休めない機関。職員には出勤時の検温や3密の場所に行かないことの徹底など、細心の注意を払っている」という。(石橋英昭)
■県、搬送時のルール作り急ぐ…
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