早世の学芸員が愛した大阪レトロ建築 連載コラム出版へ
田中ゑれ奈
かつて、大阪の近現代建築を愛してやまない「カリスマ学芸員」がいた。全国でもめずらしい建築専門の学芸員として大阪歴史博物館に勤めた酒井一光(かずみつ)さん。2018年に49歳で病没した酒井さんが生前に手がけた雑誌のコラムがこの夏、研究者仲間らの手で書籍化される。
東京出身の酒井さんは、1996年に歴博の前身の大阪市立博物館に着任。れんがやタイルといった建築部材を精力的に収集し、模型や図面にとどまらず「実物」を展示する建築展のあり方を示した。02~08年には雑誌「大阪人」で「発掘 the OSAKA」を連載。生駒ビルヂングをはじめとする文化財から行政庁舎、工場に町の新聞販売所まで、見慣れた風景の中にひそむ近現代建築の魅力を柔らかな筆致でつづった。
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酒井さんの没後、歴博の栄原…
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