授乳しながら1人で認知症の母の世話 ダブルケアの孤独

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 介護と子育てが重なる「ダブルケア」は、晩婚・晩産化が進み、少子高齢化で介護する家族が減っていることから、珍しいことではなくなってきた。出産からまもなく、母の介護も担うことになった女性は、自身の生活と介護の責任の間で揺れ動き、孤独を感じていた。

1人で2人をみる大変さ 「分かってもらえない」 

 神奈川県の鈴木由美さん(33)は2016年の秋、まだ生まれて数カ月の長女をベビーカーに乗せ、母(66)のいる実家に通った。

 母は11年に若年アルツハイマー認知症と診断された。診断後の数年は自分で身の回りのことができていたが、症状が進み、鈴木さんが16年春に長女を出産した頃には、道が分からず1人では出かけられなくなった。

 母と同居する父は日中、仕事で不在がちで、姉は離れて暮らしていた。当時、育休中だった鈴木さんは「自分が母をみなければ」と、電車で数十分離れた自宅から子どもと一緒に実家に通った。作ってきた弁当を食べたり、犬も一緒に散歩に出かけたり。1人で出て道に迷う母から目を離せないなかで、娘に数時間おきに授乳して、おむつを替えた。「1人で2人をみる大変さは誰にもわかってもらえない」。1人で皿を洗っていると、涙が出た。

 17年春の復職に向けて保育園に申し込み、内定が出た矢先の2月。父から連絡が来た。「お母さんがいなくなった」

 家族総出で捜し、実家から歩いて20分ほど離れた場所で母は見つかった。いなくなってから丸1日経っていた。

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 働きたい気持ちと母を1人に…

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