閉店決めた純喫茶 常連から届いた手紙「引き継ぎたい」

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伊藤良渓
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 4月末、新型コロナウイルスの影響で、半世紀を超える歴史に幕を閉じた水戸市の喫茶店。新たなオーナーを迎えたことで状況は一転し、6月1日に再スタートを切ることになった。地元住民に愛された落ち着きのある雰囲気やスタッフはそのまま。変わったのは、青と白の真新しいテント看板に、ある3つの数字が加わったことだ。

 水戸市泉町2丁目の喫茶店「BENZ(ベンツ)―103(トミ)」。白い壁に木製の柱がはめ込まれた独特の外観が目をひき、半円のカウンターテーブルを挟んだ常連客と店員の何げないやり取りが魅力だ。店舗脇のガレージには、創業者が乗っていたベンツが置かれている。

 「この店を守り、引き継ぎたい」。4月27日、店の閉店を知った水戸市の男性(56)はそう思った。居心地のよい空間や、建物が失われてしまうことが心配だったという。

 男性は20年ほど前から仕事の合間に通っており、洋風建築をまねたような古いデザインにひかれていた。お気に入りは2階の窓際の席。「古びたランプの明かりや、木目の色合いが好きなんです。下の階からは常連さんと店員さんの話し声や笑い声が心地よく響いてくる。ここで飲むコーヒーがおいしい」

 男性は不動産にかかわる仕事をしている。自ら建物を買い取ることも考えたが、いっそ店のオーナーとして、この建物と店の空間を守ろうと決心。5月1日、経営を引き継ぎたい思いを手紙にしたため、店の扉の隙間から挿し入れた。

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