投資家がベンチャーへの資金引き揚げ リスク回避強まる
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、投資家がベンチャー企業に対する資金を引き揚げる動きが出てきた。景気の先行きが見えにくくなり、リスクを避ける心理が強まっているため。ベンチャー企業によっては事業計画の見直しにも追い込まれそうだ。
「ベンチャーの苦境は理解しているが、投資は平時にしかできない。世界中の投資家も現金化に傾いている」。大手銀行幹部はこう説明し、理解を求める。
2013年以降、アベノミクスの追い風にも乗り、国内のベンチャー企業の資金調達額は右肩上がりだった。調査会社イニシャルによると、19年の調達総額は4462億円で過去最高。13年の5倍超に増えた。
この伸びを支えた分野の一つが、ITと金融を融合させるフィンテックだった。銀行は競うようにフィンテック系ベンチャーに投資してきたが、その流れは新型コロナの影響で変わり、投資姿勢に急ブレーキがかかりつつある。同じ幹部は「感染拡大の終わりが見えない状況で融資している。本業が傷めば投資どころじゃなくなる」と話す。
ベンチャーを取り巻く変化は株式市場にも現れている。2月まで日経平均株価は2万3千円台で推移していたが、コロナの問題が深刻化した3月中旬には一時、1万6千円台まで落ち込んだ。これを背景として4月に東京証券取引所に新規株式公開(IPO)を計画していた14社が中止を発表した。投資家の一人は「株価の変動が大きすぎ、新規上場を見合わせるベンチャーが増えた」とみる。
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