第2回コロナのどさくさに備品更新? 省庁の補正予算の使い方

有料記事検証コロナ予算

山下剛 藤山圭 江口悟
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、外出の自粛や「3密」の回避が連日、強調されている。今回の緊急経済対策を盛り込んだ補正予算案にも、テレワークやオンライン授業を進めるための費用が目立つ。在宅勤務や休校による自宅学習がさらに長引いたとき、対応できるのか。

 27日に始まった国会での補正予算の審議でも、休業補償や医療現場への支援が不十分だとする議論が続く。各予算の内容について、コロナ対策との関連性や緊急性があるのか、担当する省庁に問い合わせて検証した。

オンライン教材「利用登録は3割」

 「書くことが苦手だなと思っているキミ、心配いりません」。黒板の前に立った先生が、画面に向かって語りかける。「きょうのできごと」と題した5分間の動画。小学2年生の国語の授業だ。

 休校の長期化で、東京都港区は幼稚園と小中学校にスマートフォンを配り、先生が動画を撮影して配信する取り組みを始めた。幼稚園は「折り紙の折り方」や「一緒に歌ってみよう」。小中学校は先生の紹介や計算・漢字の学習。学校のホームページに載せたり、ユーチューブで限定公開したりしている。区教育委員会の担当者は「先生の顔が見えて、つながっていると感じてもらえている」と話す。

 区は希望する家庭にIDなどを伝え、民間のオンライン学習教材も利用できるようにした。しかし、利用登録したのは全体の3割ほど。「パソコンやタブレット端末がない家庭もある。そのことで格差が生じてはならないので、必要に応じて紙の教材も配布している」という。

 小中学校のオンライン授業で使うことも念頭に、文部科学省はパソコンやタブレット端末を1人1台配布する「GIGA(ギガ)スクール構想」の費用、2292億円を補正予算に盛り込んだ。

全小中学生に端末「達成時期は未定」

 1台4万5千円を上限に、国が3分の2、自治体が3分の1を負担する。もともとはこの構想、小中学生の全学年、約950万人分の端末を、今後4年かけて順次そろえていく計画だったが、文科省は今回の補正で、国の負担分を一気に盛り込んだ。ほかにも、学校への光回線やWiFi(ワイファイ)の配備、情報通信技術(ICT)技術者のスクールサポーターの配置、通信環境のない家庭へのモバイルルーターの貸し出し――などの費用を計上している。

 ただ、昨年3月時点で小中学校にあった端末は、全国平均で5・4人に1台。補正予算が成立しても、直ちに休校中の子どもたち全員がオンライン授業を受けられるようになるわけではない。

 文科省の担当者は「自治体が財政負担する分があるほか、メーカーがすぐに供給できるかという問題もある。達成時期までは見通せない」。萩生田光一文科相も7日の記者会見で、「ここで一気に増やしたとしても、すべてのお子さんが持ち帰って、学校とタブレットをつないで授業をやるのは現実的に不可能だ」とする。そもそも、自宅学習が続いたときに、家族がどのようにサポートできるかという問題も残る。

今回の補正予算案には、国民に向けたものだけでなく、官公庁の設備に関するものも予算に盛り込まれました。民間に遅れをとっていたデジタル化への対応などを狙っていますが、「コロナを理由に、ふだんはできない備品更新をしている」との見方も。本当に必要なものなのでしょうか。記事の後半で検証します。

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