「スペイン風邪に学べ」 学者の警鐘を紹介 長野

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土屋弘
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 100年前に世界で猛威をふるったインフルエンザスペイン風邪」では、国内で40万人前後が死亡したとされる。その被害の実態に迫り、昨年死去した歴史人口学者の速水融(あきら)さんを、長野県立歴史館(千曲市)が4月の公式ブログで取り上げている。

 スペイン風邪による犠牲者は、直後の1923(大正12)年9月に起きた関東大震災(死者・行方不明者約10万5千人)よりずっと多い。だが、なぜか被害の全容をまとめた研究書はほとんどなかったという。速水さんは当時の自治体の資料や地方紙の記事などを丹念に調べ、2006年に「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」(藤原書店)を著した。長野県内にも足を運び、生々しい実態を描いている。

 日本で大流行が始まるのは1918年の秋から。著書によると、軍の兵営や学校などが感染源になり、約3週間で全国に広がった。県下では諏訪地方の製糸工場で50人、100人と集団感染が相次ぎ、多くの死者が出た。速水さんは「工場内の空気が混濁し、糸くずが舞い、流行する条件がそろっていた」と見る。下伊那地方の小学校では児童の30~50%が感染した。

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 翌年春にいったん収まるが…

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