介護する人も社会で支援 全国初のケアラー支援条例とは

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 さまざまな世代や立場で家族などを介護する人(ケアラー)を社会で支援するため、全国で初めての「ケアラー支援条例」が埼玉県議会で成立した。介護者の社会的な孤立防止や「介護する子ども」への支援などを求める動きが、成立を後押しした。北海道栗山町も条例制定を目指す。

介護する人と受ける人 共倒れの防止に

 「ケアラーには社会的支援が届いてこなかった。支援の対象と規定されたことは大きい」。3月27日の条例成立を受け、さいたま市の埼玉県議会で報告会を開いた一般社団法人日本ケアラー連盟共同代表理事の堀越栄子さんは、感慨深そうな表情だった。

 介護サービスなどの支援は介護が必要な人に対するものが中心で、介護者は支援の対象とされてこなかった。連盟は、都道府県や市町村でのケアラー支援条例制定や「ケアラー支援法」の制定を求め、全国の介護者支援団体と連携して活動してきた。堀越さんは「ケアラーが疲労やストレスをためないようにすることで、介護を受ける人と介護者の共倒れ防止につながる」と話す。

 「ケアラー支援条例」では、ケアラーは、高齢や障害、病気などで「援助を必要とする親族、友人その他の身近な人に対して、無償で介護、看護」などをする人と定義。「全てのケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるように」することを明記し、県や県民、関係機関が連携しながらケアラーを社会全体で支えていくことや、県が推進計画を作ることなどを定めている。

 なかでも18歳未満の「ヤングケアラー」に対しては、適切な教育の機会を確保し、自立が図られるよう支援しなければならないとする。

 昨年6月から、県議会の自民党会派がプロジェクトチームを立ち上げて条例案を検討。条例は全会一致で成立した。自民党会派の吉良英敏県議は「介護と自身の生活の間で悩むケアラーの存在を明らかにし、安心して暮らせるようにしなければならない」と話す。

孤立しがちな介護者たち

 介護者は、孤独を感じたり、孤立したりする状況に置かれがちだ。

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