首相が電話「状況は大変」現金給付抗争、官邸が見せた隙

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石井潤一郎 大久保貴裕 西村圭史
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 新型コロナウイルス禍で危機対応にあたる政府・与党の足並みの乱れがあらわになった。その騒動は、任期の終盤に差し掛かった政権のいまを生々しく映し出す。

 14日昼、国会内。自民、公明両党の幹事長、国会対策委員長らが顔をそろえた。連立を組む両党の定例の会合だったが、この日はいつもと雰囲気が違った。

 「経済対策はすべて首相官邸内の一部で決めて、党に知らされるのは後。それでいいんですか」。公明の斉藤鉄夫幹事長(68)は、官邸主導で進む政治判断をいらだった口調で批判した。

 1週間前の7日、安倍晋三首相新型コロナ対応で緊急事態を宣言し、政府は事業規模108兆円の緊急経済対策閣議決定した。経済対策の目玉である減収世帯への30万円給付は首相とその周辺だけで判断され、両党幹事長らには事前に知らされなかった。

 公明は、政府に国民1人10万円の一律給付を提言していた。斉藤氏は、給付の対象が限られる30万円案を「本当に評判が悪い」とこき下ろし、「官邸の判断は大丈夫ですか」と、自民側に水を向けた。これに二階俊博幹事長(81)は「まったくだ。党の言うことを聞かないから悪いんだ」と同調し、怒りをあらわにした。その口ぶりに、部屋の空気は一段と張り詰めた。

 それから数時間後、二階氏は…

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