「3食作るのもう限界」親から悲鳴 苦境でもお弁当提供

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白木琢歩
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、貧困や孤立に直面する子どもたちに安価で食事を提供する「子ども食堂」の運営休止が増えている。全国で緊急事態宣言が出て環境はさらに厳しさを増した。そんな中で、形を変えて活動を続ける選択をした運営者もいる。

 10日夕方、堺市北区。古民家前に設けられた台に、緑黄色野菜をふんだんに使った色鮮やかな弁当が並んでいた。この場所でカフェを経営している横尾祐子さん(42)が、毎週金曜日に開いている子ども食堂「みんなのカフェ モモ」の一コマだ。

 子ども食堂の活動を始めたのは2017年。近くの子どもたちやボランティアが集い、和やかな雰囲気で食事をしてゆるやかにつながる。そんな「日常」は新型コロナウイルスの感染拡大で一変し、3月は営業を取りやめた。

 4月に入っても、地域の学校は再開見通しが立たず給食の提供もない。自身も3人の子を育てる横尾さんの元には「ずっと子どもと一緒にいて、毎日3食食事を作るのがもう限界」など保護者の悲鳴が届いた。

 そこで弁当の提供に絞って食堂の活動を再開。「学校給食が食べられず、栄養バランスが崩れている家庭もある」と、野菜をたっぷり使ったメニューにした。子ども用は100円、大人用は500円。「おたすけ弁当」と名付けた。これまで食堂の利用者は30人程度だったが、初日の3日には約60食が売れた。

 大阪府が緊急事態宣言の対象になって初めて迎えた10日は約80食、17日は約70食が完売した。横尾さんは「宣言後も続けるか悩んだが、経済的にも厳しい今だからこそ求める人は多い」と手応えを感じている。子ども2人と弁当を買いに来た会社員女性(35)は「飲食店は感染が怖くて入れないが、ここのお弁当なら安心できる」と歓迎する。

 一方、食堂利用料の100円玉を握りしめ一人で食事に来ていた子どもたちは、弁当を買いに来ていないという。自宅が分からず届けることもできない。「居場所を必要としている子どもたちにアプローチできないのはもどかしい」と横尾さん。それでもできる限り活動を続けていくつもりだ。

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■多くの子ども食堂、活動厳し…

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