マーラー「復活」に宿る奥深さ 関西フィル岩谷祐之さん

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富岡万葉
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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、多くの公演が中止や延期に追い込まれています。自宅で楽しめるDVDやCD、放送や配信などから、今回は、関西フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター・岩谷祐之さんが選ぶ「秀逸な一点」をどうぞ。(富岡万葉)

 マーラーの交響曲第2番「復活」は、僕のオーケストラに対する考え方を変えた一曲です。

 米国留学中の2001年ごろ、学生オケの演奏会で初めて弾きました。バイオリニストは目立ちたがり屋で、若い頃はオケよりソロでやりたい人が多い。僕も当時はオケにそれほど関心がありませんでした。ただ演奏会まで1年かけて曲を練っていくうちに、おもしろくなっていきました。曲の持つすごさ、大人数で演奏する奥深さがわかったんです。

 オケは様々な楽器が呼応し合い、どのパートが欠けてもいけません。その構造は人数が多いほど絶妙になり、それぞれが別のことをしながら一つの流れをつくっていく。ソロでは成し得ない魅力の一つです。

 関西フィルに入りオケに慣れてくると、ソロの曲に対するアプローチも変わりました。例えば、なんとなく聞いていたピアノの伴奏の低音や高音、リズムやメロディー、楽譜の細かい指示をとても意識するようになりました。関西フィルというオケで僕の音楽性が花開いたと思っています。

 交響曲第2番は長い曲です。でも肩ひじを張らずに気軽に手にとっていただきたい。最初は白紙の状態で聴いてみてください。純粋な驚きを感じられます。

 最後の方に全員で音を出す狂気がかった瞬間があります。パイプオルガンがガーンって鳴ると会場全体が揺れるよう。変幻自在の弦楽器のうねりなどいろんな音が一つの潮流になっていく怒濤(どとう)のスペクタクルという聴き方をしてもおもしろい。合唱も入るので、人の声が持つ強さを感じることもできます。あのセンセーションを一度でも聴くと、やみつきになるんじゃないかな。クラシック音楽の入り口になると思います。

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