新型コロナウイルスの感染拡大で深刻なマスク不足が続く中、使用済みとみられるマスクが落ちているのを目にする機会が増えた。東京都内の環境ベンチャーにも、各地でごみ拾いに取り組む人たちから「マスクの割合が急増した」と報告が寄せられている。専門家は、ポイ捨てマスクに潜む感染リスクを訴える。

植え込み、歩道、駅構内…なぜ、そこに?

 4月4日 東京都内の大手スーパー脇の歩道中央に黒いマスクが1枚。商業施設1階のエレベーター脇にも白いマスク。顔の形に沿うように丸まっていた。

 8日 都内の歩道脇の植え込みの中に白いマスクが入り込んでいた。公衆トイレの出入り口の外にも白いマスクが1枚。やはり顔の形に丸まっていた。

 9日 隅田川の橋のたもとの歩道脇に白いマスクが1枚。黒くくすんでいた。

 12日 小雨の降るJR錦糸町駅前の広場で、路面に白いマスクが張り付いていた。駅構内にも白いマスクが1枚。行き交う人は避けるように歩いていた――。

 記者が4月前半、仕事の移動時や買い物の道中で目にしたものだ。

拡大する写真・図版4月上旬から中旬にかけて東京都内の路上や植え込み、商業施設内に落ちていたマスク=池田良撮影

 ごみ拾いの状況がひと目でわかるスマホアプリを開発した環境ベンチャー「ピリカ」(東京都渋谷区)の調査では、新型コロナウイルスの感染拡大の懸念が高まった2月以降、マスクのポイ捨てをめぐる各地の投稿が急増。2月は前年比5・6倍の168件、3月は同6・8倍の176件だった。

 小嶌(こじま)不二夫代表取締役(33)は「ポイ捨てとみられるごみの中にマスクの割合が増えており、時勢を感じます」とため息をつく。

 寄せられた投稿には「こんな時期なのに、マスクのポイ捨てする人がおおいのが残念です」(2月17日)▽「缶の中に吸い殻とマスクが捨ててありました。安易に捨てないで」(同月29日)▽「マスクのゴミで悲しくなります。手に渡っていない方々もいるというのに……」(4月3日)といった書き込みもあった。

感染リスク、避けるには

 ポイ捨てされたマスクにはどんな危険が潜むのか。

 感染症に詳しい富山大付属病院感染症科の山本善裕(よしひろ)教授(感染予防医学)は「使用済みマスクにはウイルスや菌が付着し、拾った人にも感染するリスクがある。強風で飛ばされるなどしたマスクに誤って触れてしまう場合も接触感染の恐れがある」と指摘する。そのうえで、「落ちているマスクは自分で拾わずに行政など最寄りの専門機関に連絡し、回収してもらってほしい」と呼びかける。

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