第4回海に飲まれた3番ティー ゴルフの「聖地」にも迫る波頭

有料記事スポーツ地球異変

遠田寛生
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 拝啓、運動好きの方々へ。ある日、知人から言われます。「5年後、大好きなスポーツが同じように楽しめないかもしれない」。突然、そんな言葉を投げかけられたら、信じられますか。私は懐疑的でした。現場を見て回るまでは。伝統競技、人気競技でも、気候変動による異変はスポーツの現場でも起きていました。

削られていく名門コース

 厚い雲に覆われた空の隙間から数秒、黄色い日の光が降り注いだ。目の前に広がる北海の水面が照らされる。みとれた。

 2019年12月17日、スコットランド東部モントローズにあるゴルフ場「モントローズ・ゴルフ・リンクス」。1562年からゴルフが楽しまれ、世界5番目に古いといわれるコースの2番(パー4)ティーグラウンドに立っていた。1番グリーンから7番ホールまで海に接している。

 全英オープンの予選会場として開催した実績を持ち、現在は欧州プロツアーの会場でもある。絶景を見ながらゴルフが楽しめ、米国や欧州北部など海外客にも人気だ。

 名所は今、深刻な問題に直面している。ティー横に掲げられた看板が物語る。

 「危険 海岸浸食で砂丘の上も下も不安定。近づかないように」

 2016年、英ダンディー大は北海が30年間で内陸に70メートルほど接近したと発表した。気温上昇で海の水位が上がり、砂丘や岩など堤防のような存在が流されたのが原因だ。1970年代から始まり、地元の港で水底をさらって土砂を取り除く作業も影響を及ぼしたと言われている。

 スコットランド東部の海岸線はめまぐるしく変わった。モントローズはその象徴といえる。コースを管理するモントローズ・ゴルフ・リンクスのディレクターで、委員会を招集しているジョン・アダムズさんは言う。「2002年ごろから顕著になってきたが、ここ数年はクレージーだ。南東からの波で砂丘などが削られ、年間約1・5メートルほど海岸線を失っている」。

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