「未知の怖さ」「限界」地域の基幹病院で起きていること

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荻原千明 武田肇 伊木緑
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 「地域の基幹病院としてどこまで耐えられるのか。未知の怖さがある」

 新型コロナウイルスの感染確認者が2600人に迫る東京。杉並区の住宅地に立つ河北総合病院(331床)の岡井隆広副院長(57)は危機感をあらわにした。

 もともと感染症患者の入院を想定した指定医療機関ではない。2月上旬は「帰国者・接触者外来」として、保健所から依頼があった感染の疑いがある人の診察や検査に1日に1、2人ほど対応するだけだった。

 だが、3月に入って局面が変わった。保健所からの要請は日々増え続けた。「もう無理ですか?」「追加でお願いできませんか」

 感染者を受け入れる指定医療機関の病床が埋まり、3月28日には搬送先がなくなった。38床あるフロアを新型コロナ専用に切り替え、患者を受け入れ始めた。急変した重症者の治療にもあたるようになった。31日には研修医1人の感染が判明。他の研修医ら17人を自宅待機にし、一般救急の受け入れを一時制限せざるを得なかった。

 4月15日、敷地内に高さ3メートルほどの白いテントを張った。院内感染を防ぐため、来院者は全員まず体温を測り、熱があればこのテントに移って看護師が症状を聞き取る。新型コロナ感染の疑いがある場合は、院内に設けた専門外来で診察を受ける仕組みだ。17日に稼働を始める。いま病院には感染者や疑いがある人の計14人が入院している。

 「どこまで受け入れられるか。できる限り、患者さんを受け入れ続けなければならない」

 最前線で命を支える医療従事者から「限界」を訴える声があがっている。(荻原千明)

院内感染「人ごとではない」

 岡井副院長が最も恐れているのが院内感染だ。

 都内では永寿総合病院(台東区)や中野江古田病院(中野区)など、院内感染が疑われる事例が相次いでいる。「人ごとではないというのが正直なところ」

 スタッフは感染防止のマスクや手袋、ガウンの着脱訓練を繰り返す。また感染者とそれ以外の人が接しないように動線を分けることにも神経を使っている。

 「本来、感染症対策に特化した施設ではないので余計に苦労している」

「明日からコロナ担当」

 「明日から、コロナ担当だ」。3月下旬、大阪府内の公立の総合病院に勤務する30代の女性看護師は、職場でそう指示された。

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 この病院は、新型コロナの重…

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