コロナ対策で2.1兆円の資金枠 アジア開銀総裁に聞く
新型コロナウイルス禍が世界を覆うなか、アジア経済の現況や見通しについて、浅川雅嗣・アジア開発銀行(ADB)総裁に聞いた。浅川氏は財務省財務官などを経て1月、第10代総裁に就任し、本部のあるマニラで指揮をとる。取材はウェブ会議システムを通じて行った。(編集委員・吉岡桂子)
――新型コロナウイルスの感染拡大に対して、ADBの取り組みは。
新型コロナウイルスによるパンデミックは、アジア・太平洋地域の開発や貧困削減の成果を大きく後退させ、経済を不況に陥れる恐れがある。ADBは1月末以降、フィリピン、スリランカ、タジキスタンやメコン川流域の国々などにマスク、防護服や人工呼吸器などを購入できる資金などを緊急援助してきた。4月に入って、貧しい人たちへの現金給付などが必要になった国々の財政を支援するため、融資を含めた資金の提供枠を200億ドル(約2兆1千億円)まで拡大した。橋の建設などプロジェクトへの支援を得意としてきたが、弱者救済を念頭に財政支援にも柔軟に取り組む。
中国に対しても2月末、武漢に本社を置く医薬・衣料品の卸売会社の資金繰り支援で緊急融資した。中国は最初に新型コロナの感染者を確認した国として自らの対策を通じて得た情報を開示し、知見の共有に努めてほしい。
――アジア経済の見通しは。
アジア太平洋地域の2020…
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