弾も弾薬庫もない最前線 「お粗末」配備招いた国の失態

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藤原慎一
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 沖縄・宮古島に、陸上自衛隊ミサイル部隊が配備され、駐屯地が完成した。東シナ海の最前線で中国を牽制(けんせい)するのが任務だ。だが、肝心の弾も弾薬庫もまだない。何が起きているのか。

 今月5日、宮古島駐屯地で配備完了の式典が開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて市長から自粛を要請されたが、参加者を減らすなどの対策を講じて開催。式典で、佐藤慎二司令は「第一線にある部隊としてあらゆる任務に即応し、南西地域の安定に寄与する」と訓示した。

 駐屯地は昨年3月、警備部隊の約380人を先に配置して開設。ここに艦艇や航空機を射程に入れるミサイル部隊が加わり、700人体制になった。

宮古島、10年越しのミサイル部隊

 南西諸島への自衛隊配備の背景には、中国への警戒感の高まりがある。2008年以降、中国の艦艇や航空機は、沖縄本島―宮古島間の「宮古海峡」での航行を常態化。これに対し日本政府は、10年に閣議決定した防衛大綱で南西諸島を安全保障の「空白地域」とし、自衛隊の配備を打ち出した。

 中国が太平洋へ出る際に通過する南西諸島の宮古、石垣、奄美にはミサイル部隊を、日本最西端の与那国島には沿岸監視部隊の配備を計画。与那国島と奄美大島に続き、10年越しで宮古島へのミサイル部隊配備が今回実現した。

 駐屯地は島中心部にあるため、ミサイル部隊の使う地対艦・地対空ミサイルは、民家の少ない地区に造る弾薬庫に保管することになっている。

 だが、肝心の弾は島内になく、弾薬庫もまだできていない。

住民には「小銃弾や発炎筒」と説明

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 駐屯地内に配備される警備部…

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