タイの貧困層「食べていけない」 マスク作り通じて支援

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バンコク=貝瀬秋彦
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 新型コロナウイルスの感染が広がるタイで、その影響が低所得層が暮らすスラムを直撃している。多くが仕事を失ったうえ、感染の脅威にもさらされているのが実情だ。そうしたなか、マスク作りなどを通じた支援の動きが広がり始めた。

 約10万人が暮らすバンコクのクロントイ・スラム。その一角にあるNGOの事務所で、5人の女性がマスク作りに励んでいた。布を裁断して成形し、ミシンを使って1枚1枚、手作りで仕上げていく。繰り返し洗って使えるように、しっかりとした作りだ。

 女性たちは、以前は服や手工芸品などを作っていたが、新型コロナの感染拡大の影響で注文が激減。代わりに3月からマスクを手がけ、1日あたり約350枚を仕上げている。

 この活動を始めたのは、日本のNGO「シャンティ国際ボランティア会(SVA)」が支援するタイのNGO「シーカー・アジア財団」。マスク作りには、スラムの女性たちの仕事と収入を確保すると同時に、住民らにマスクを配って感染防止につなげるねらいがある。

 支援する団体や企業、個人が注文して購入し、スラムの住民ら必要とする人たちに配る仕組みで、「タイ国日本人会」からも注文が入った。すでに、3千枚以上がスラムの住民らに渡った。

 だが、スラムの実情は厳しい。マスク作りをしているジーラパーさん(53)の夫、カンチットさん(50)は建設工事の請負をしていたが、新型コロナの影響で仕事が途絶えた。クロントイの港で働く長男(31)も仕事がなくなり、次男はまだ学生だ。

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