「そもそも、この資料要る?」テレワークして湧いた疑問

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五十嵐聖士郎
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 会社から離れた自宅などで仕事をする「テレワーク」。新型コロナウイルスの感染拡大で、兵庫県内でも急速に広がっている。勝手の違いでストレスもあるが、「働き方改革」の契機にもなりそうだ。

 「自宅でのパソコン作業は通信スピードが遅くて、いつもいらいらする」

 大手機械メーカーに勤める県内の40代の男性社員は、約1カ月前から始めた在宅勤務についてそうぼやく。20年近い会社生活のなかで、テレワークは大きな変化だ。

 県内で新型コロナウイルスへの感染者が初めて確認されたのは3月1日。間もなく、男性は会社から電車通勤をやめ、在宅勤務するよう指示された。

 幸い自宅2階には広さ2畳ほどの小さな「書斎」がある。会社の貸与パソコンを持ち帰り、ここで仕事をする。学校などが休みになって家にいる小さな子ども2人にのぞかれながら、時には携帯電話でやり取りしながら作業をする。

 男性の仕事は、設計資料の作成だ。一つの資料だけで、A3判の紙が200ページ以上にもなる。しかも、設計資料は機密情報なので、記録媒体にコピーしたり、社外で印刷したりすることができない。

 男性はA3判の資料を実物大で見るため、私物で持っていた大型モニターを使っている。「貸与パソコンは小さすぎ。モニターを持っていない社員はどうしているのだろうか」

 困るのは、午前9時の始業直前はアクセスが集中するせいか、社内のネットワークになかなかつながらないことだ。1時間以上接続できない日もあった。

 オフィス内と比べ、通信速度が遅いのにもイライラする。画面が固まって動かなくなることもしばしばだ。在宅勤務でも求められる作業量は同じ。「テレワークを進めるなら、通信環境を整えてほしい。おかげで、3月末締めの資料の半分が間に合わなかった」

 運動不足もストレスの原因か。1日1万だった歩数計の数字は、1千に減った。たびたび滞るパソコン作業ゆえ、たばこの本数は2倍に増えた。

 もちろん、悪いことばかりではない。オフィスでは同僚の話し声が耳障りなこともあったが、自宅では集中できる。片道1時間の通勤はなくなり、子どもたちは一緒にいる時間が増えて喜んでいるようだ。「通信や印刷の問題が解決すれば、これ以上ない環境だ」

 在宅勤務を始めて、様々な疑問もわいた。そもそも資料はこんなに必要があるのか。A3判より小さいサイズではダメなのか――。多くの社員がテレワークをする今、仕事の見直しが迫られていると思う。

 新型コロナウイルスという災いで広がったテレワークだが、日本の会社文化や働き方を変えるきっかけになるのではないか。そう期待しているという。

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