足利家「花の御所」の庭石か 室町殿跡で巨大な石が出土

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高井里佳子
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将軍家の絶大な権力示す資料か

 「花の御所」と呼ばれた室町時代(1336~1573)の足利家の邸宅「室町殿(むろまちどの)」跡(京都市上京区)で、庭園に使われたとみられる長径3メートル近い石や、池の一部が見つかった。京都市埋蔵文化財研究所が10日発表した。専門家によると、ほかの庭園跡では例のない石の大きさといい、将軍家の絶大な権力を示す貴重な資料とみている。

 室町殿は、室町幕府の3代将軍だった足利義満(1358~1408)が1381年に完成させ、歴代将軍の住居や統治の拠点として使われた。推定範囲は東京ドームの半分強の約7600坪。正門が室町通りに面していたため、この名が付いた。その姿は、国宝「上杉本 洛中洛外図屛風(びょうぶ)」にも描かれている。

 今の京都市でいえば、中心部を南北に走る烏丸通沿いにあり、京都御所同志社大のそばにあったとされる。発掘調査の現場は、カフェや保育園が立ち並ぶ一角にあり、4月3日に取材で現場に入ると2メートル近い大きな穴の底に、当時の遺構があるのが見えた。

 今回の発見で特に重要とされるのは、室町殿の推定範囲の南東部分で見つかった八つの石だ。長径95センチ~2・7メートルで、重さは最大で推定9・8トンある。

 このうち七つは、互いに近接した状態で見つかった。滝をイメージした「滝石組」とみられる配置。そのあたりを水が流れていた形跡はなかったため、枯れ滝だった可能性がある。

 研究所は、いずれも室町殿の庭石として、大きな池のへり部分に使われたと推定。石が埋まっていた層から出土した土器の分析から、銀閣寺の建設にも関わった8代将軍義政(1436~90)の時代に置かれたとみている。石の大きさから、遠くから運ぶのは難しかったと考えられ、京都市近辺から高野川を使って運ばれた可能性もあるという。

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