緊急事態宣言、コロナと闘う国々 強制力はそれぞれ

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ワシントン=園田耕司 ニューヨーク=藤原学思 ローマ=河原田慎一 ソウル=神谷毅 ロンドン=下司佳代子 ジュネーブ=吉武祐
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 新型コロナウイルスをめぐって安倍晋三首相が7日に出した緊急事態宣言は、感染を防ぐための協力を国民に求めている。他国がすでに出した宣言と比べ、何が異なるのか。主な国々が進める内容を紹介する。

米国は州権限で外出禁止

 感染者数が世界最多の米国。トランプ大統領は感染者が2千人を超えた3月13日に国家非常事態宣言を出した。検査や治療態勢の拡充などに最大500億ドルの連邦予算を使えるようにする措置で、感染拡大防止をめざして国民に協力を求める日本の緊急事態宣言とは異なる性格をもつ。

 米国の「連邦制」は地方政府に大幅な自治権を認めており、州政府の権限が極めて強い。各地の州政府はすでに強制力を伴う自宅待機命令などを発出。米メディアによると、州政府レベルの命令は、全米50州のうち41州で発令中という。

 たとえば、首都ワシントンに近いメリーランド州は、食料の買い出しなど一部の例外を除き自宅待機を命令。違反者に1年以下の禁錮と最大5千ドルの罰金を科す。ニューヨーク州も3月22日、州知事令で「原則100%の在宅勤務」を義務づけた。企業が違反し、従業員らに「深刻な身体的危害」を及ぼした場合、最大1万ドルの罰金となる。

イタリア、移動制限違反に罰金

 世界最多の死者が出たイタリアではコンテ首相が1月31日、6カ月間を期限とする「国家非常事態宣言」を出した。宣言に基づく「政令」に議会の承認は不要だが、「15日ごとに議会に報告する」とした。国内感染者は当時2人だった。

 その後の感染者の急増に、コンテ氏は3月8日の政令で、同国北部の自治体間の移動を禁止。2日後には移動制限を全土に拡大した。違反者への罰金も後に、最大3千ユーロ(約35万円)に引き上げた。

 さらに、生活必需品以外を扱う商店の閉店や生産活動の停止など、制限の範囲を広げた。病院建設や、医療機器、資材の確保を目的に、私有財産の差し押さえも可能とし、ミラノでは軽症者の隔離施設にするため、ホテルを接収した。

 政令の期限は当初、4月3日だったが、同13日まで延長された。コンテ氏は政令の効力を広げるたびに国営放送RAIなどで説明。RAIの3月末の世論調査では、8割以上の国民が、外出禁止などの規則が有効だと評価しているという。(ワシントン=園田耕司、ニューヨーク=藤原学思、ローマ=河原田慎一)

韓国は強制力なし

 感染者数が1万人を超えている韓国。文在寅(ムンジェイン)政権はこれまで、強制力を伴う措置は取っていない。感染拡大を防ぐため、国民に3月22日から15日間、「社会的に距離を置こう」と呼びかけ、期間を4月19日まで延長した。ほかにも、カラオケ店や教会などが防疫措置をとらなかった場合は、自治体が行政命令を出して改善を促している。

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