「撮って書ける」食ライター シャッターはタブレットで

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細見るい
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凄腕しごとにん

フードライター・永谷正樹さん(50)

 「シャリでよく聞くのは岐阜のハツシモですが、ここはどうですか」「粘りが少ないからですか」。尾張地方の郷土料理「もろこ寿司(ずし)」について、笑顔を織り交ぜながら、これまでの蓄積を生かして料理人に質問を投げかける。「面白い!」「えー!」。大きめの反応に、相手も和んでくる。

 30分ほど話を聞くと、今度はみずから撮影機材の設営に取りかかった。料理を置いたテーブルの左側に、高さの異なる照明を二つ立てる。「3灯目を立てるのがミソ」と言い、右側の、料理より少し高い位置からも光をあてる。撮った画像を見ると、甘辛く煮付けられた「もろこ」が、見事な照りを放っていた。3月末、月刊誌「おとなの週末」のサイトに掲載された記事は料理だけでなく、料理人の人生や地域文化にも触れた温かみのあるものになっている。

 東洋経済オンラインやウェブメディア「DANRO」、ホットペッパーグルメ、光文社の雑誌「STORY」などで、フードライターとして幅広く活躍している。最大の持ち味は、プロカメラマンでもあること。記事から写真まで一人で完結できるフードライターは、業界では珍しいという。

 「Yahoo!ライフマガジン」の編集者の安田はつねさんは、「『いい感じ』の写真なら誰でもスマホで撮れるが、照明など下準備に手を抜かないから画力が違う。文章も、実況のようで一緒に食べている気になる」。もろこ寿司の取材を受けた「末廣寿司」(愛知県津島市)の野口佳男さん(53)は、「先回りして質問してくれて答えやすい」と話す。

■「撮って書く」までの歩みと…

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