茨城)震災後、めざした「人に優しい宿」 北茨城の旅館

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小松重則
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 茨城県北茨城市中心部を流れ、太平洋に注ぐ大北川河口。海岸線とほぼ平行に1キロ超流れる川に沿って、堤防の建設が続く。高さ約7メートル。真新しい堤防が完成した昨年春ごろ、河口近くにある旅館「としまや月浜の湯」の2階の部屋からは、海が見えなくなった。

 渡辺悦夫社長(67)と女将(おかみ)の十九夜(とくよ)さん(67)は、複雑な思いで堤防を見つめる。河口から太平洋を望む景観が売りの一つだった。海が見えなくなった2階の部屋の料金は引き下げた。客室は2~4階に19室。3室ある2階の部屋には温泉が付いており、他の階より料金設定が高かった。

 「海側の部屋なのに海が見えない」というクレームを避けるため、ホームページに「あいにくお部屋から海は見えません」と明記した。渡辺社長は「せめて1メートル低ければ海が見えたけど……」とつぶやく。「われわれ観光業者は、景観上の問題でそんなに高くしたら大変だという思いがあった。でも大震災直後、住民が『なるべく高く』というのは仕方がなかった」

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