社長と2m、自宅でもスーツ…コロナで様変わりの入社式

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橋田正城 福山亜希 小出大貴
【動画】伊藤忠、入社式できない新入社員をサプライズ歓迎=橋田正城、西畑志朗撮影
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 新社会人の「門出の春」となる4月1日。通常なら企業や官公庁では大勢の新人が集まって入社式などが行われるはずだが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、中止や方式変更が相次ぐ。少人数に分かれてトップのメッセージを見たり、自宅で待機しながらネットで配信された映像を見たり――。企業などは異例の対応に頭を悩ませている。

赤じゅうたんに感激

 東京・北青山の伊藤忠商事では1日朝、レッドカーペット(赤じゅうたん)が敷かれ、百数十本の枝を組み合わせた満開の桜がお目見えした。入社式は中止だが、「印象に残る出迎えをしたい」(岡藤正広会長CEO)と発案したサプライズ企画で、新入社員を拍手で出迎え。感極まった表情を見せる新入社員もいた。

 リコーは、約170人の新入社員を東京都大田区の本社に時間差で呼び、山下良則社長が1人約1分ずつ立ったまま話をした。マスクを着けたまま2メートル以上の距離をとった。山下社長が「入社してどんな製品をつくりたいか」と問いかけると、男性の新入社員は「高齢化社会に役立つものをつくりたい」と答えていた。

 従来のように大勢を1カ所に集める形式では感染リスクが高まる。すでに感染防止のため一部業務をテレワークに切り替えた会社も多く、出迎える側の社員も少ない。「入社式をどうするか、ギリギリまで人事部が頭を痛めていた」(ある企業の担当者)という企業も少なくない。

 多くはウェブを活用した「ネット入社式」に切り替えた。パナソニック大阪府枚方市の研修所で予定していた入社式を中止。約700人の新入社員は自宅や寮からパソコンなどで津賀一宏社長の動画を視聴した。配属先が書かれた辞令はウェブ上のファイルで受け取った。三菱UFJ銀行は、新入行員に自宅でスーツを着てタブレット端末を見るように指示。「セレモニーなので正装を義務づけた」(広報)という。

 NTTグループ、日産自動車、東芝、資生堂、三菱ケミカルも原則、新入社員は自宅で社長らのメッセージをウェブ視聴する形に。トヨタ自動車マツダみずほ銀行は、本社や研修施設、配属先で少人数に分かれてメッセージを視聴する形にした。

 ANAホールディングスと日本航空は、羽田空港(東京都)の格納庫で開いていた2千~3千人規模の入社式を取りやめた。鈴鹿サーキット三重県鈴鹿市)で1千数百人を集めて入社式をしてきたホンダも中止。3社は社長のメッセージなどを新入社員が自宅のパソコンなどで視聴する形式にした。(橋田正城、福山亜希、小出大貴)

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■マスクをして2メートル間隔…

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