子どものヘディング、脳に悪影響? 英国では禁止広がる

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遠田寛生 中小路徹 吉田純哉
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 子どもがヘディングを繰り返すことは発達中の脳に悪影響を与える危険があるとして、イングランドサッカー協会(FA)が練習でのヘディング禁止を打ち出した。11歳以下までのチームは原則禁止とし、年齢が上がるごとに緩和させる。サッカーの母国が施策を打ち出したことで、日本でもヘディングの安全性の議論が進みそうだ。(遠田寛生、中小路徹、吉田純哉)

 11歳以下までのチームはサッカーを楽しむ時期でヘディングは「原則禁止」、12歳以下は「最大5回までの練習を月に1回」……。FAが2月下旬に発表した新しい指針は年代ごとに細かい制限を設け、チームが上がるごとに頻度や回数を微増させるよう推奨している。

 導入のきっかけは、英グラスゴー大が昨秋発表した調査結果だ。ヘディングが原因という直接的な因果関係は証明されていないものの、「元選手は一般の人より認知症などを患う可能性が約3・5倍高い」と指摘。脳が発達中の子ども時代からヘディングを繰り返すことの危険性を訴えた。

 指針はあくまで監督やコーチら指導者を手助けする目的で作られ、義務ではない。試合では従来通り認められ、ルール変更もない。それでも頭部への衝撃を和らげるため「ボールの空気圧は基準の最低値を使うように」と記すなど、細やかな配慮がうかがえる。FAは「(指針は)『慎重すぎる』と責められそうだが、脳振盪(しんとう)などのリスクを軽減できるのならば、それでいい」。英国ではイングランドとスコットランド北アイルランドが採用した。

 指針づくりの参考になったとみられるのが、2016年1月に導入された米国協会のガイドラインだ。11~13歳以下は練習時の制限を設定。10歳以下は練習と試合の双方で禁止し、試合中にヘディングした場合はファウルと同じ扱いで間接FKになる、とした。主要な大会では専門医を置き、脳振盪の疑いが出ると一時的な交代が認められるといった規定もある。

 敗訴したものの、米国の親たちが「サッカーをする5万人近い高校生が頭部外傷を負った」として、国際サッカー連盟(FIFA)などを相手取り提訴したことがきっかけとなった。

「日本でも基準があれば、安心する」

 日本の小学生年代のサッカークラブでは、ヘディングの弊害は大した関心事ではないようだ。

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 かつてJ1大分の育成を担当…

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