訪日客のにぎわい、すでに懐かしく 閑散とする大阪

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遠藤隆史 山根久美子 長谷川健
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、関東、関西の2大都市圏は静かな週末を迎えた。ふだんは旅行客などでにぎわう新大阪駅。28日朝、人影はまばらで、新幹線の切符売り場に行列はなく、土産物売り場も閑散としていた。

 「こんな時期に移動するかすっごく悩んだ。考え過ぎて胃が痛くなった」。堺市の主婦(40)は、11歳の長男と2歳の次男を連れて、実家のある栃木県に向かうところだという。

 5年ほど前に病気で手術を経験し、経過観察中。関東の医療機関で受ける毎年の定期検診が31日に迫っていた。何度も延期を考えたが、最近になり再び体に痛みを感じるように。大阪でも自粛要請が出されたが、感染がさらに広がる可能性を考え、「いま行くしかない」と決断した。

 「自分や子どもたちが感染するのも心配だし、実家で両親にうつしてしまうのも怖い。これで良かったのか、いまもモヤモヤしています」

 埼玉県春日部市に住む男性(59)は26日から出張で大阪を訪れ、帰宅するため東京行きの新幹線に乗るところだった。出張中の2日間で、東京や大阪などで相次いで外出自粛要請が出るなど、急速に状況が悪化していると感じる。「とにかくできる対策をするしかない。手洗いうがいをして、週末は家でおとなしくしています」

 外出自粛の呼びかけを受け、単身赴任先からの帰宅をとりやめた人もいる。

 「久しぶりに夫と会えると思ったのに……」。大阪市北区の30代女性はため息をつく。夫は東京都内で単身赴任中で、小学生となる長女(6)、幼稚園児の長男(4)との3人暮らし。「この1カ月、公園くらいしか遊ぶところもなくて、子どもも私もストレスでいっぱい。夫が帰ってこないのは腹立たしいけど仕方ない」と話した。遠藤隆史、山根久美子)

 大阪・ミナミの玄関口、南海難波駅前。客待ちのタクシーの列だけが長く続いていた。高島屋大阪店は従業員の感染が確認されたため、臨時休業した。

 「今日は人が少ないよ」。近くの商業施設前で警備を担当している70代の男性がつぶやいた。5年近く、駅前の路上に立ってきた。毎日のように外国人観光客から道を聞かれていたが、すでに懐かしさを感じるという。「観光客なんてもうほとんどいないね。どうなるんだろう」

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 いつもは人であふれかえる戎…

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