榊原謙
ライオン 香料科学研究所 主任研究員
渡部真さん(49)
拡大するハミガキに使う天然ミントオイルをしみこませた匂い紙を手に。大切な香りの評価は感覚が鋭敏な朝に行う=東京都江戸川区、工藤隆太郎撮影
歯の健康を保つには1日3度歯を磨くことが好ましいらしい。そのためにはハミガキが変な味がしたり、飽きがきたりするようではだめだ。口に含んだときの爽やかな清涼感。適度な甘みを含んだ「おいしさ」。そうしたハミガキの香りと味を生み出しているのが、ハミガキにわずかに含まれる天然ミント由来のオイルだ。合成素材では得られない複雑な味わいを出すため、品質が高い米国産の天然ミントを蒸留して得られたオイルにこだわる。これまでに品質評価したミントオイルは5千を超える。
入社後300種類以上の原料の香りと名前を覚える訓練を経て、調香師として27年にわたってハミガキなどの香料開発をしてきた。香料の原料確保のため、巨大産地の米国に飛び、自社水準にあう天然ミントオイルを探すことが毎秋の一大ミッションだ。
現地では農家からミントを仕入…