「地獄のジャングル」に足止め 猛威のコロナ、難民直撃

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サモス島=河原田慎一 ビハチ=吉武祐
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 中東やアフリカからトルコを経由してバルカン半島に入った難民・移民が行き場を失っている。トルコと欧州連合(EU)の対立に巻き込まれ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて難民申請手続きは停止。劣悪な環境下で先の見えない生活を続けている。

「島はもう終わりだ」

 「ジャングル」。ギリシャ東部、サモス島の山裾に広がるテント群についた呼び名だ。

 昨年12月にスイスで開かれた「グローバル難民フォーラム」で、この言葉を紹介したギリシャ・パトラ大学のステラキス・ネクタリオス教授は「本来のジャングルは美しいが、あそこは地獄だ。島に閉じ込めて見て見ぬふりをするのはギリシャと欧州の恥だ」と語った。

 海峡の対岸、3キロほどしか離れていないトルコ本土からサモス島に渡ってきた難民のうち、キャンプからあふれた人々のテント群が島の中心街のすぐ裏手に迫っている。680人しか収容できないキャンプに9千人が押し寄せたからだ。

 2015年の難民危機の時に島は通過点だったが、今は島で難民申請を受け付ける。多くの人が審査を待ち、島を出られずにいる。

 住民との摩擦もある。「たむろする難民に公園が占拠され、観光客が怖がって来なくなった。島はもう終わりだ」。中心街の広場で魚を売るブラフコス・ココキリスさん(70)はそう吐き捨てた。

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 広場には、サモス市が作った…

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