北京、厳しさを増す厳戒態勢 習氏が恐れる崩壊の足音

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北京=冨名腰隆
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 中国の首都・北京は、新型コロナウイルスの感染封じ込めに一定程度成功しているにもかかわらず、人の往来などの移動制限が厳しさを増している。旗を振るのは習近平(シーチンピン)国家主席。厳戒態勢の裏には、「政治の中枢都市」という理由だけではない、複雑な事情があるようだ。

 3月11日、住民の出入りを厳格に管理しているという北京市郊外の黒庄戸郷郎各庄村に足を運んだ。広さ1・5平方キロメートルの村全体がぐるりと壁に囲まれた構造で、中へ入る唯一の門の脇には、大きなプレハブの「登記所」が設置されていた。

 一度外出した住民が村内へ戻るには、煩雑な手続きが必要になる。

 まず、体温測定と消毒をその場で済ませる。次に、過去14日間に汚染が深刻な地域に入っていないことを証明する。これは、中国の携帯電話会社が無料で提供を始めたGPS履歴サービスを利用する。それもクリアすると、健康状況などの問診を受け、顔認識機能付きのカメラでデータを記録した後に、ようやく門が開く仕組みだ。

 副郷長の田赫氏は「約4500人の住民すべてをこのシステムで厳しく管理している。この地区から感染者は出ていない」と胸を張った。

 中国の都市部は、そもそも日本の町内会にあたる「社区」ごとに共産党や公安が住民を管理するシステムで、北京でも警備員が人の出入りを見張る団地やマンションが多く存在する。ただし、平時ではここまでの厳しさはない。

 3月中旬の午後、懇意にしている中国国営メディア記者をお茶に誘うと「しばらく外出できない」とやんわり断られた。

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 聞けば、ローテーション制と…

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