聖火リレー、急逝の父に「見せたかった」 実習生の涙

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土井良典
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 東京五輪の2021年への延期方針が決まり、26日から始まる予定だった聖火リレーが見送られた。愛知県岡崎市の工場で働くモンゴルからの技能実習生ルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん(28)は聖火ランナーになる予定だった。晴れ姿は約2週間前に亡くなった母国の父が楽しみにしていた。

 「ナンディアさん」の通称で親しまれるナンデンエルデネさんは、ネジのメーカー「藤田螺子(らし)工業」で品質管理を担当し、ネジの強度や精度を検査している。ネジはトヨタの車などで使われ、社会を支えている。今回、会社からの卒業を前に「感謝の気持ちを伝えたい」と聖火ランナーに応募。4月7日に愛知県安城市を走る予定だった。すでに当日の集合時間が知らされるなど本番ムードが高まっていた矢先だった。

 「楽しみにしていたので寂しいし、残念。聖火ランナーとして走ることで日本とモンゴルをつなぐ架け橋になる姿を見せたかった」と言う一方で、「世界中の人々が病気になっている。何より人命が大切なので仕方ない」。社内ではリーダーシップや正確な仕事が評価され、上司は「技能実習生というと、よくブラックとか低賃金とかマイナスのイメージで報道されることが多いが、真面目に活躍している実習生がたくさんいることを多くの人に知ってほしかった」と新型コロナウイルスが拡大する社会状況を残念がる。

 モンゴルの首都ウランバートルで6人きょうだいの末っ子として生まれ、遊牧の伝統が受け継がれる「ゲル地区」で育った。テレビでは「おしん」「ラブジェネレーション」など日本のドラマや、人気アニメ「ドラゴンボール」「NARUTO」が放送されていたこともあって日本に親近感を持った。大学で日本語を学び、在学中に2度来日。日本人のこまやかな気遣いや豊かな自然に魅せられた。

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 日本で働きたい。2014年…

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