家業は造船 いま作るのは巨大デコポン、恐竜… なぜ?

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大矢雅弘
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 たこつぼからはい出す全長約4・5メートルの巨大なタコ。特大のデコポン。白亜紀肉食恐竜ティラノサウルス――。熊本県・天草路を巡ると、数々の多彩なモニュメントに出あう。制作したのは天草市御所浦町の松永英也(ひでなり)さん(44)。技の秘密は「家業」にあった。

 松永さんは御所浦島の造船会社「アクアマリンまつなが」の3代目。造船業は1948年に祖父が始めた。父の秀暢(ひでのぶ)さん(故人)が後継者となり、船も木造船から繊維強化プラスチック(FRP)船へと様変わりした。漁業も「捕る漁業」から「育てる漁業」へと変化し、船の注文も激減。そんな中で秀暢さんはFRP素材で魚市場や料亭、活魚輸送用の水槽などを手がけるようになった。

 松永さんは高校卒業後、福岡市の九州デザイナー学院で学び、建築設計事務所で建築と公園のデザインを担当し、99年に家業を継ぐためにUターンした。

 モニュメントの制作は、知人に「FRPの技術を生かして恐竜を作ってみないか」と勧められたのがきっかけだ。折しも、町では恐竜化石が発見され、「恐竜の島」づくりの機運が高まっていた。

 佐賀で開かれた恐竜展や東京ディズニーランド千葉県浦安市)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)、九州各地の恐竜博物館に足を運んだ。最初の作品となる肉食恐竜デイノニクス(全長約2・5メートル)を制作し、旧御所浦町(現天草市)に寄贈。それが話題を呼び、ビジネスにつながった。

 モニュメントは発泡スチロールを熱線で削ってできたしんを厚さ3~4ミリのFRPで覆って作る。複雑な造形と屋外での耐久性を両立させるため、インターネットで調べて工夫を重ねた。造船の素材と同じFRPで曲線を造形する技術は、本業の造船技術が生かされているという。

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 最も苦心するのは彩色だ。1…

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