再エネで復興めざす「400人の村」 福島・葛尾村 

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上田俊英
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 400人余りが住む福島県葛尾(かつらお)村で、再生可能エネルギーを使い、電気の地産地消を目指す設備の建設が始まった。東京電力福島第一原発事故で長く全村避難を強いられ、人口は事故前の4分の1ほどに激減。再エネ利用への挑戦には、村の未来がかかっている。

 3月中旬。阿武隈山地に抱かれた葛尾村を訪れると、真新しい電柱がみえた。電線はまだ張られていない。村内の太陽光発電所でつくる電気を村民に供給する。

 「電柱は1月に設置を始め、いま65本。最終的には150本ほどになる」と副村長の馬場弘至さんは言った。

 馬場さんは、福島県などが株主の福島発電と村が設立した、「葛尾創生電力」の社長も務める。目指すのは、電気を地産地消するスマートコミュニティーの実現だ。

 計画では、村の中心部に出力約1700キロワットの太陽光発電所を建設。電柱に総延長約5キロの自前の送電線(自営線)を張り、年内に電気の供給を始める。電気の自給率は村の中心部で約55%、村全体でも40%近くになる。

 「中山間地の過疎の村が再エネで成り立つことを示したい。大きな社会的挑戦だ」。馬場さんは強調する。

 2011年3月の原発事故当時、村には1567人が暮らしていた。5年3カ月間の全村避難をへて、大半の避難指示は16年6月に解除されたが、帰村者は今年3月1日現在、331人。移住者をいれても村で暮らす人は419人にすぎない。そんな村にとって、スマートコミュニティーづくりは「村に人を呼び込み、企業を呼び込むための挑戦」と篠木弘村長は語る。「再エネによって安全・安心な暮らしを実現したい」

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 成果もみえ始めている。ニッ…

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