第4回「とにかく保険売れ」焦る銀行員 優秀な同期がすぐ辞職

有料記事ややこしい保険の研究

柴田秀並
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ややこしい保険の研究④(全5回)

 顧客が支払ったお金を保険会社が外貨で運用し、運用益を還元する「外貨建て保険」。銀行や証券会社でも広く売られている人気商品だが、苦情も多い。為替レートしだいで損得が大きく左右されるハイリスクの保険なのに、リスクや契約内容が十分に説明されなかったと感じている契約者が多いのだ。

 朝日新聞の集計では、生保大手が2018年度に売った外貨建て保険の販売総額は3.6兆円に達し、前年の1.5倍に急増した。

 銀行や保険会社が外貨建て保険を売りまくる背景には、何があるのか。

 西日本の地方銀行に勤める20代の若手銀行員に、内部の事情をきくことができた。

「融資なんていいから」

 この銀行員は中規模の支店に配属され、法人向けの融資を担当している。若手に任せられるのは中小零細ばかりだが、担当としてこうした企業に新たに貸し出したり、販路を一緒に考えたりするのが銀行員としての本来の役目だ。

 だが現場に身を置くと、それは「建前」だと分かった。世は超低金利時代。融資を増やしたところでもうけは薄く、たいして評価もされない。

 それよりも手数料が入ってくる外貨建て保険や法人保険、投資信託などを経営者らに買ってもらうために頑張った方が、銀行としては「実入り」が大きいのだ。

 「現場では『融資なんていいからとにかく保険を売れ』と言われています」と、銀行員は打ち明ける。

 個々の行員には表向き「ノルマ」はない。あるのは「営業目標」だ。

 年間に払い込まれる保険料に…

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