【国会詳報】自死職員の妻、首相答弁は「許せません」

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永田大 三輪さち子 今野忍 石井潤一郎 遠藤隆史 西村圭史 大久保貴裕
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 23日午前9時前から、安倍晋三首相らが出席して参院予算委員会の集中審議が開かれました。テーマは「安倍内閣の基本姿勢」で、新型コロナウイルス感染拡大を受けた東京五輪の開催問題など幅広い分野で論戦がかわされました。タイムラインで詳報します。

見どころ解説=三輪さち子記者

森友問題や新型コロナで野党追及

 午前中の参院予算委員会では、新型コロナウイルス感染症の政府対応に加え、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題が取り上げられる予定です。

 改ざんを苦に自死したとされる財務省近畿財務局職員の遺族が国などに損害賠償を求めて提訴したのを受け、野党は追及を強める構えです。安倍晋三首相は19日の参院総務委員会で「胸が痛む」と述べたものの、改ざんの経緯を再調査することには否定的な考えを示しています。今日の参院予算委で、首相はどのように答弁するでしょうか。

 野党で最初に質問する立憲民主党福山哲郎氏は、改ざん問題を首相や麻生太郎財務相にただす予定です。社民の福島瑞穂氏もこの問題を取り上げます。2年前に森友問題が国会で取り上げられた際に、鋭く首相に切り込んだ2人でもあります。

 新型コロナ対策では、専門家会議の見解を受け、政府は春休みに入るまでとした学校の全国一斉休校要請を延長しない方針を決めました。今週中にも文部科学省が指針を示す予定です。4月の新学期から学校が再開できるのか。その基準は何か。論戦が交わされる見通しです。また、自衛隊出身の自民党佐藤正久氏が危機管理のあり方についても質問します。

08:55

参院予算委の集中審議始まる

 参院予算委員会の集中審議が始まった。

09:00

「五輪延期の判断も行わざるを得ない」と首相

 安倍晋三首相は参院予算委員会の冒頭、7月からの東京五輪について「困難な場合には、アスリートのみなさんのことを第一に考え、延期の判断も行わざるを得ない」と答弁し、延期を容認する考えを表明した。

 国際オリンピック委員会(IOC)の臨時理事会が延期を含めて大会組織委や東京都、日本政府と検討し、4週間以内に結論を出す方針を決めたのを受け、自民党の佐藤正久氏の質問に答える形で表明した。

 首相は22日夜、自身の考え方を森喜朗・大会組織委員会長に話したと明らかにした。IOC臨時理事会の前に、森氏からバッハ・IOC会長に話したという。

 首相はまた、「中止は選択肢にはない。この点はIOCも同様だと考えている」と答弁し、中止の可能性を否定した。

09:20

米国からの入国者に制限かける方針、首相が表明

 「検疫所長の指定する場所での14日間の待機要請、および国内における公共交通機関の使用自粛要請を行う」。日本人を含む米国全域からの入国者に制限をかける方針を、安倍晋三首相が参院予算委員会で表明した。新型コロナウイルスの感染が米国でも広がっていることを受けた対応だ。

 この日昼の予算委の休憩中、政府が開く新型コロナウイルス感染症対策本部で決定する見通し。首相は同委で「引き続き諸外国における感染状況を注視し、分析の上、機動的な水際対策をちゅうちょなく講じていく」とも答弁した。自民党の佐藤正久氏への質問に答えた。

09:25

感染症の法整備「収束後に検討」

 西村康稔経済再生相は参院予算委員会で、今後の感染症に関する法整備について「指定感染症であっても特別措置法が使えるような道を開くかどうかなど、事態が収束した後にしっかりと検討を加えていく」と答弁した。自民党の佐藤正久氏への答弁。

 政府は今回の新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」として、新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正した。西村氏は「新感染症という未知のものであれば直ちに(改正前の)特措法が使えたが、1月9日の段階で(新型)コロナウイルスとWHO(世界保健機関)が発表したがゆえに、指定感染症で(法改正を)やった」と説明した。

 今回の改正の動きの中で、野党からは改正前の特措法で対応できるとの指摘が相次いだ。西村氏の答弁は、現在の感染拡大が収束した後、改めて国会で法整備について議論するとの考えを示したものだ。

10:25

野党の質問始まる

 自民党の質問が終わり、野党の質問が始まった。野党の最初は立憲民主党の福山哲郎幹事長。安倍晋三首相が東京五輪の延期を容認する考えを表明したことについて、質問を始めた。

 福山氏は「残念だが、一気に流れができると思う」と述べ、首相に対し「延期の判断をされるならなるべく早い方がいい」と語った。

10:25

福山氏「延期の場合、早く結論を出して」

 安倍晋三首相は参院予算委員会で、東京五輪を延期する場合は「なるべく早く判断した方がいい」との考えを示した。立憲民主党の福山哲郎氏の質問に答えた。

 首相がこの日の同委冒頭で「延期の判断も行わざるを得ない」と答弁したことについて、福山氏は「総理の発言があったので、残念だが一気に流れができる」と指摘。国際オリンピック委員会(IOC)の臨時理事会が日本政府などと検討して4週間以内に結論を出すと決めたことについて、福山氏は首相に「各国との調整、放映権の問題、おそらくそういう調整を今懸命にやっていると思うが、アスリートの皆さんも気が気でない。延期という場合は、とにかく早く結論を出していただきたい」と求めた。

 首相は「新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中で、練習がままならない地域の方々もたくさんおられる」と指摘。「IOCが判断されるが、IOCと対話を行って、しっかり検討していきたい」と答えた。

10:30

首相「瀬戸際は続いている」

 安倍晋三首相は参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染症について「瀬戸際は続いている」との認識を示した。立憲民主党の福山哲郎氏から「感染が広がるか、収束するかの瀬戸際が今も続いているのか」と問われたのに答えた。

 福山氏は日頃、鋭い口調で首相に厳しく切り込む姿勢で知られる。しかし、この日の質問では「今日は言葉を引っかけたりしませんから、安心してください」と前置きした上で、首相に聞いた。

10:40

新学期の学校再開、24日に条件公表

 萩生田光一文部科学相は参院予算委員会で、4月の新学期からの学校再開に向けて「明日(24日)、様々なチェックポイントも含め、全国に発信したい」と答弁した。24日にも再開の条件を示した指針を公表するとみられる。

 萩生田氏は「国内の感染状況については爆発的な感染拡大には進んでいないため、原則として全ての学校が再開されることになる」と答弁。ただ、都市部で感染が拡大していることから「若干全国での対応が変わってくる可能性は否定しない」とも述べ、地域によって対応が異なる可能性も示した。

 学校再開後に感染者が判明した場合は、学校設置者が地域での感染拡大の状況や臨時休業の必要性などを総合的に考慮し、「都道府県の衛生部局と十分に相談のうえ検討していくことが必要だ」と述べた。

 立憲民主党の福山哲郎氏の質問に答えた。

10:45

東京五輪延期検討、橋本五輪相「IOCの決定に従う」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が東京五輪・パラリンピックの延期の検討を始めたことについて、橋本聖子五輪相は23日午前、「中止はないということですので、今後検討状況をしっかりと注視しながら、IOCの決定に従うべく、組織委員会、そして東京都と緊密な連携をとり、準備に全力で取り組んでいきたい」と述べた。内閣府で記者団の取材に答えた。

 安倍晋三首相や小池百合子東京都知事が、相次いで延期を容認する発言をしたことについては「IOCの決定に従うことの表れではないか」と指摘。また26日から始まる聖火リレーは「今のところは予定通り」とした上で、「そういったことも今後早急に話し合いがされるだろうと思う」と述べた。

11:05

麻生氏「再調査は考えていない」 首相は紙を読み上げ

 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題。23日の参院予算委員会で福山哲郎氏(立憲民主党)は、改ざんを苦に自死したとされる財務省近畿財務局職員が書いたという手記を読み上げ、遺族が真相究明を求めて国などを提訴したことに対する感想を、安倍晋三首相に問うた。

 首相は「大変痛ましい出来事で、本当に胸が痛む思いでありました。改ざんはあってはならず、再発防止を徹底していくものと考えております」などと、手元の紙を読み上げた。福山氏は「なんでこんな場面で、官僚が書いた紙を読むのか」と批判した。

 福山氏はまた、麻生太郎財務相に対し、「これを読んでも再調査しないという考えに変わりないか」と質問。政府として事実関係を改めて調査する考えがあるかただした。麻生氏は「手記と(財務省がまとめた)調査報告書に大きな齟齬(そご)はない。実質的な違いがあると思っていないので、再調査は考えていない」との認識を示した。

11:10

五輪延期検討、菅長官「関係者と連携して対応」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国際オリンピック委員会(IOC)が今夏の東京五輪・パラリンピックの延期の検討を始めたことについて、菅義偉官房長官は23日午前の定例記者会見で「詳細は今後検討されることになると考えるが、大会組織委員会や東京都などの関係者と緊密に連携をとりながら、適切に対応していきたい」と述べた。

 また、首相は26日から始まる聖火リレーに参加する意向を示しているが、菅氏は聖火リレーや五輪開催に向けた準備については「大会組織委で検討が行われると承知している」と述べるにとどめた。

11:20

自死職員の妻の手記、弁護団も発表

 立憲民主党の福山哲郎氏は参院予算委員会で、森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんに加担させられたとして自ら命を絶った近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)の妻のコメントを読み上げた。

 同様の内容を記した直筆のコメントは、国などを相手取って訴訟を起こした赤木さんの妻の弁護団が報道機関にも提供した。赤木さんの「手記」が明らかになる中、麻生太郎財務相が問題の再調査をしない方針を表明し、安倍晋三首相が否定的な姿勢を示したのを受けて、公表したとしている。

 コメントの内容は次の通り。

 「安倍首相は、2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。

 麻生大臣は墓参に来てほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。

 この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場ではないと思います。」

記事の後半では、この日の安倍首相や麻生財務大臣の答弁を受けて、自死した職員の妻が再度出したコメントを紹介します。そのほか、新型コロナや五輪に関する質疑も詳しくお伝えしています。

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■麻生氏「弔問にうかがいたい…

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