大人は 子どもを安心させて(笑ってる場合かヒゲ 水曜どうでしょう的思考)

有料記事笑ってる場合かヒゲ

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藤村忠寿(HTB「水曜どうでしょう」チーフディレクター)

 たぶん5歳ぐらいだったと思うんですけど、初めて飛行機に乗りました。母親の故郷が鹿児島なので、里帰りだったと思います。楽しみにしていたのにその日は雨風が強くて、昼間なのに空が暗くて、楽しいはずが不安で不安で。座席でベルトをぎゅーっと締められて、今まで聞いたこともないゴーッという大きな音とともに飛行機が飛び立って、小さな窓に雨が勢いよく当たってはじけて、もう怖くて怖くて。

 そんな中で母親が言ってくれた言葉を今でも鮮明に記憶しています。「大丈夫。天皇陛下だって飛行機に乗ってるんだから」と。「そうか、あんなにエラい人も乗るんだから安全なんだ」と少し安心しました。やがて飛行機は厚い雲を抜けました。するとそこには青空が広がっていました。不安は消し飛び、間近な白い雲に目を見張りました。「本当にフワフワなんだ」と。「でもマンガみたいにあの上を走ったりはできないな」なんてことも思いました。

 初めての飛行機は楽しい経験に変わりました。その後、鹿児島でどう過ごしたのか、どうやって帰ってきたのか、記憶は一切ありません。ただ、暗い空と、母親の言葉と、白い雲のことだけをはっきりと覚えています。

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 僕が8歳のときに第1次オイ…

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