広がる地平線、受け入れた放射性廃棄物 小さな町の選択

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キンバ=小暮哲夫 福地慶太郎
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 オーストラリアで、国じゅうの放射性廃棄物を集めて管理する施設の建設予定地が決まった。引き受けるのは南部の小さな町だ。(キンバ=小暮哲夫

300年後まで管理必要

 見渡す限りの地平線。あちこちにユーカリの木が立つ。豪政府は2月、南部の町キンバのこの地に、放射性廃棄物の管理施設をつくると発表した。人口1100人。産業は穀物生産や羊の牧畜。町を去る若者は多く、65歳以上の高齢者が人口の2割を超える。

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 160ヘクタールの建設予定地も牧草地だ。「施設ができれば別の産業を呼び込める」。予定地を所有するアンドリュー・バルドックさん(37)は言う。

 豪州には原子力発電所はないが、1958年に豪州原子力科学技術機構(ANSTO)の前身が小型原子炉で放射性医薬品などの開発を始めた。現在、毎週1万回分の服用量を作る。

 ANSTOや病院から出た累計5千立方メートル分の放射性廃棄物は100カ所以上に分けて保管されてきた。政府は1カ所に集めようとしてきたが、候補地の住民の反対もあって難航した。

 そこで政府は、受け入れる意向のある個人の土地を探した。2015年に候補地を募ると、17年2月までに約30人が申し出た。その1人が「地域の人々に後押しされた」というバルドックさんだった。

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 「議論を呼ぶだろうが、地域…

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