NY株終値、史上最大2997ドル安 市場動揺収まらず

ニューヨーク=江渕崇
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 週明け16日の米ニューヨーク株式市場は、主要企業でつくるダウ工業株平均が前週末比約3000ドル安で終え、史上最大の急落となった。米連邦準備制度理事会(FRB)が前日夕、事実上のゼロ金利と量的緩和政策の再開を決めたが、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる金融市場の動揺は深まる一方だ。円相場は1ドル=105円台前半まで急速に円高ドル安が進み、原油先物価格も1バレル=30ドルを割り込んだ。

 ダウ平均の終値は前週末比2997・10ドル(12・9%)安い2万0188・52ドル。下落幅は12日に記録した2352ドルを超えて過去最大となった。下落率でも1987年の歴史的株価暴落「ブラックマンデー」以来となる大きさ。ダウ平均の下げ幅は取引最終盤に3000ドルを超える場面があった。

 ダウ平均は2月12日につけた史上最高値(2万9551ドル)からわずか1カ月あまりで9千ドル超、31・7%も下落。ほぼ3年1カ月ぶりの安値に沈んでいる。

 ダウ平均を構成する30銘柄すべてが値下がりした。航空機ボーイングは20%超の急落。ゴールドマン・サックスなどの金融株やエネルギー株、インテルマイクロソフトなどのIT銘柄も安い。

 ハイテク株が多いナスダック市場の総合指数も急落し、同970・29ポイント(12・3%)安い6904・59で終えた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、欧米各国は週明けにかけて相次ぎ入国規制を強めた。米国内でも、小売店や興行施設が営業を自粛したり、ニューヨーク州など複数の州や市が飲食店の営業制限に踏み切ったりするなど、実体経済への影響が一気に広がっている。

 FRBは前日の日曜夕に緊急の金融緩和に踏み切ったが、米景気後退におびえる金融市場の動揺を鎮めるには至らなかった。

 16日は取引開始直後から売り注文が殺到し、パニック的な株価急落を防ぐために取引を15分間全面的に停止する「サーキットブレーカー」が発動された。ニューヨーク市場の主要株価指数「S&P500」が7%下落する基準に達した。現行基準での発動は今月9日、12日に続き3回目となった。

 トランプ米大統領は16日午後の記者会見で、10人以上の集会や不要な旅行を控えるよう要請。米経済が景気後退に向かっている可能性を認めたほか、新型ウイルスをめぐる問題が夏ごろまで続きうるとの見通しを示したことも、投資家心理を悪化させた。

 外国為替市場ではドルを売って円を買う動きが加速。円相場は1ドル=105円15銭まで円高ドル安が進んだ。午後5時(日本時間17日午前6時)時点では1ドル=105円80~90銭と、前週末同時刻比で2円18銭の円高ドル安。

 一方、16日のニューヨーク商業取引所では原油価格が急落した。指標となる米国産WTI原油の先物価格は、前週末比3・03ドル安い1バレル=28・70ドルと、ほぼ4年1カ月ぶりの安値で終えた。(ニューヨーク=江渕崇

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