「アーカイブは民主主義」大阪中之島美術館がめざす未来

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田中ゑれ奈
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 大阪市が30年超の構想・準備期間を経て、2021年度に開館を予定する大阪中之島美術館(北区中之島)。菅谷富夫館長が「日本の美術館業界で、この分野のパイロット(水先案内人)に」と語るのは、膨大な資料の所蔵情報を公開するアーカイブづくりだ。他館ともノウハウを共有し、文化資源の「民主主義」化をめざす。

 美術館のアーカイブとは、作家や美術作品にまつわるスケッチや写真、手紙、展覧会記録といったあらゆる資料を収集し、整理、公開する機関のこと。中之島美術館準備室は、国外で近年注目が高まる前衛美術集団「具体美術協会」のリーダー吉原治良(じろう)の関係者らから資料群を寄贈されたのを機に、15年度からアーカイブの整備を進めてきた。

 準備室は開館までに、所蔵する全アーカイブ資料のデータベースを公開する予定だ。資料名や作家名、年代などの情報をパソコン画面上で検索し、概要を確認した上で、必要な資料があれば手続きを経て現物を見られるようにする。

 美術作品のコレクションと違い、資料が展覧会で日の目を見る機会は限られている。外部の美術関係者や研究者が閲覧したくても、どの美術館がどんな資料を持っているか分かりづらい。収蔵から一度も調査や記録をされず、担当学芸員が異動や退職でいなくなった後、存在すら知られることなく死蔵されるケースも多いという。

 「偉い作家が『この作家は偉…

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