日本バスケットボール界の「顔」として長く活躍するB1宇都宮の田臥勇太(39)。その背中を追い、三遠の特別指定選手として高校生B1リーガーとなった河村勇輝(18)。ともに司令塔役のポイントガード(PG)でプレースタイルや身長も似通う2人は、20歳以上の年齢差を超え、互いを意識しているという。日本を支えてきたベテランと将来を担う逸材の対談が実現した。
河村 父が田臥さんの大ファンで、僕にとっても憧れの存在です。栃木(現宇都宮)の試合を見に行ったり、ビデオがすり切れるまで映像を見たり。小学1年から6年の頃は、田臥さんの能代工高時代のDVDを見ながら寝落ちするような毎日でした。最高の睡眠学習だったと思います。
田臥 そのケースは初めてだな。子守歌代わりに見てくれていたんだね。うれしいです。今まで頑張ってきて良かったです。
僕も河村君のプレーを見ていますよ。高校生ですごく上手な選手がいると聞いて、ポジションも同じPG。インターネットで高校の試合や国際試合を探しました。日本の中ではずば抜けているんだろうなと思っていたけど、国際試合でものびのび相手を翻弄(ほんろう)している感じが見て取れました。
報道されている記事や写真を見ていると、自分の高校時代とは比べものにならないくらい、しっかり答えている。えらいなって思っています。さすがですね。
河村 いや、そんなことは……。自分は見て覚えるのが得意な方で、小さい頃から映像で見た田臥さんのパスをよくまねしていました。だんだんとつかめてきたら、自分のタイミングでもやれるようになってきて。田臥さんのプレーを見て来たからこそ、今の自分があると思っています。
田臥 こんなことはなかなか言われないので、ありがたいです。確かに、プレーを見ているとトリッキー(巧妙)なパスというか、面白いパスを試合の中でずいぶん出していますよね。一方で、しっかりと基本を忠実にやっているイメージも。両方がうまく合わさっているから、見ている人も楽しいし、一緒にやっている選手も楽しいと感じるんだろうなと。パスとシュートはどっちが好きですか?
河村 まだシュートは得意ではない方なので。
田臥 え! 自信を持ってやっている感じがするけどね。
河村 それはやっぱり、相手に悟られないようにやっていることなので。
田臥 あえて堂々と?
河村 そうです。シュートも嫌いではないんですけど、パスで相手をうまくだませた時の方が、自分的には気持ちいいです。
田臥 パスが好きなんだね。それはしっかりと伸ばしてほしい。シュートの確率もすごく良いし、思いきり打っている印象がある。スピードをうまく生かしながらシュートとパスの判断ができていると思います。守備はどうですか?
河村 高校の時はフィジカル(肉体的な)面が他の選手とあまり差を感じなかったので、得意分野でした。
田臥 体つきがしっかりしている。高校生同士だと、(ぶつかり合いも)強い方だったでしょ?
河村 はい。でも、やっぱりBリーグを経験して、プロは全然違うと感じていて。今は1番の課題として取り組んでいます。田臥さんもフィジカルの差で苦労したことはありましたか?
田臥 俺も高校の時に日本代表入りして、年上の選手たちとプレーするのが大変だった。でも、そこはあえてそういうものだと(受け止める)。米プロNBAで今季注目のルーキーであるザイオン・ウィリアムソン(ペリカンズ)みたいな選手でない限り、誰もが壁に感じる部分だと思う。
チャレンジしたことによって見えた課題は、今後の克服すべきテーマになる。どういう駆け引きや工夫が必要なのか、これからどんどん発見してもらいたい。慣れもあるし、変に気にしすぎないで良い。フィジカルは絶対に(体の成長と共に)ついて来ますから。
逆に、ここは生かせるんじゃ…
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