学校で常に国旗を掲げよう。そんな提案がドイツの中道政党から出てきた。第2次世界大戦の反省から、愛国心を示すことを抑えてきたのだが――。(ベルリン=野島淳)
「東西統一の象徴」
ドイツ南西部カールスルーエの中央駅前にある動物園の入り口には、三つの旗が風にたなびいている。ドイツ国旗、バーデンビュルテンベルク州旗、欧州連合(EU)旗だ。ドイツでは、行政機関などが国旗を掲げるぐらいで、町なかで見かける機会は少ない。
「学校も常に国旗を掲げるべきだ」とアドリアン・クラントさん(17)は言う。メルケル首相が属する中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)の学生組織の州代表を務める。「ドイツほど自国を卑下し、愛国心を失った国は他にない」と感じていた。
クラントさんにとって国旗は「戦後ドイツが培ってきた自由や民主主義、今年30年を迎える東西統一の象徴」だ。3年前から学校に国旗、州旗、EU旗を掲げる運動を仲間たちと始めた。国旗だけでないのは、戦後の歩みが欧州統合の成果とともにあることを肯定的にみるからだ。
クラントさんらはCDUの州支部に繰り返し働きかけた。それが実り、州支部は昨年11月の全国党大会で「三つの旗を恒久的に学校に掲げることを支持する」と提案。賛成多数で承認された。
「党全体の方針になって感動…
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