「心の半分持っていかれた」丸山桂里奈さん、福島を語る

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聞き手・吉田純哉
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 2020年東京五輪聖火リレーは福島から始まる。第1走者は、東日本大震災が起きた2011年、サッカー女子ワールドカップ(W杯)で優勝した日本代表「なでしこジャパン」のメンバーだ。11日で震災から9年。元日本代表FWで、東京電力のチームでもプレーした丸山桂里奈さん(36)が、複雑な思いが交差する胸中を語った。

 ――国内の聖火リレーは26日にスタートします。ランナーに選ばれた感想は。

 「26日は37歳の誕生日で、一生に一度のこと。ありがたいんですけど、どこかさみしいというのか、言葉にするのは難しいですね。東京電力のチームでプレーし、原子力発電所でも働いていました。福島は青春時代を過ごした第二の故郷。地震で一緒に働いた人が亡くなり、住んでいた人が帰れない場所でもある。色んな思いをかみしめながら走りたいです」

 ――原発事故の対応拠点だったスポーツ施設「Jヴィレッジ」が出発点。代表合宿でも使われた思い出の地です。

 「去年全面再開してよかったな、と率直に思います。試合で走っていたグラウンドに鉄板が敷かれて、スコアボードの時計が止まっていた時には胸が張り裂けそうでした」

 ――「3・11」から9年となります。

 「自分には何ができるんだ、と何年も考えています。Jヴィレッジでイベントをするとか、福島のものを食べるとか、地道にできることをやるのが一番かな」

 ――9年という月日が、心を癒やすことはあるのでしょうか。

 「自分の中で、時計の針はけっこう止まっている感じ。心の半分を持っていかれたような。大げさですけど、この気持ちのまま死んでいくと思います」

 12年3月に防護服を着て一時帰宅したこと、元上司で福島第一原発事故当時の所長だった故吉田昌郎さんのこと…。丸山さんが語りました。

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