休校だけど学校開放、割れる対応 子どもの心身どう守る

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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、国主導で始まった「一斉休校」。その出口が見えないなか、学童保育以外でも学校施設の開放が各地で進んでいる。週1回、登校日を設ける学校も。子どもの健康や心のケアに留意しながら、働く親を支えるには――。現場の試行錯誤は続く。

 9日午後、東京都港区立御成門小学校。持参した弁当を食べ終えた1~4年生の児童7人が、図書室で勉強や読書をしたり別室で映画をみたりしながら過ごしていた。見守るのは、学童保育を運営する事業者の職員たちだ。検温や手洗いのほか、昼食時は児童が向き合わないように座ってもらい、教室はこまめに換気をする。校内には学童保育の利用者もいるが、体育館や校庭を使う時間をずらして過密状態を避けるという。

 区は同日から、学童を利用していない児童の受け入れを18の小学校で始めた。「子どもが安心して過ごせる場所がない」という声が保護者から寄せられたためだ。区内に住む小学生(私立も含む)を午前8時半から午後5時まで受け入れる。9日時点で500人の申し込みがあった。区の担当者は「集団感染を避けるために休校し、学童保育の利用も控えるよう求めている状況でバランスを取るのは難しいが、予想以上に切実な声が保護者から寄せられた」と話す。

 区によると、区立小に通う9424人(2月1日時点)に対して、学童や学校受け入れを利用するのは1500人ほど。休校は4月6日の始業式まで。担当者は「休校が長引けば利用者は増えるだろう」と言う。

「子どもを閉じ込めずに済んだ」

 「子どもを家に閉じ込めずに済み、ほっとした」。区内に住む30代女性は9日、子ども2人を連れて区立小を訪れた。共働きだが、平日は習い事があり、学童は利用していなかった。そこへ一斉休校。区は学童の利用自粛を求め、新規申し込みも中止した。最初の1週間は夫と在宅勤務などを利用して見守ったが、「1カ月は子どもの精神衛生にも良くない。政府や行政は最初から受け皿を用意するべきだった」と話す。

 今月2日から休校になっている東京都杉並区も9日から、似た取り組みを開始。区教育委員会によると、500人超の申し込みがあったという。「休校期間はあと2週間ある。当初は在宅で仕事をするなどしてきた家庭も、今後は難しくなるケースが出るかもしれない」と担当者はみる。

 区立桃井第二小学校では10日、教室に1~3年生の児童計14人が集まり、塾の問題を解いたり、本を読んだりしていた。通常のクラスではないためか、3年の女子児童(9)は「授業の方が楽しい。友達もいないし寂しいな」とつぶやいていた。

先生が見守り「もう少し離れよう」

 東京都稲城市では休校初日の4日から、1~3年生の希望者を午前8時半から午後2時まで、小学校で預かっている。学童が始まるまでの時間を埋める対応だ。身近な先生による見守りで、低学年の児童に安心感を与える狙いがある。

 市立稲城第三小学校の1年生の学級では9日、マスクをした児童6人が数メートル間隔で座り、自習していた。対象となる3学年約270人のうち、約50人が登校しているという。昼休みは校庭でも遊べるが、児童同士の距離が近づくと先生が「もう少し離れようか」と促す。永瀬功二校長は「児童間の距離を確保できており、安全に場所を提供できている」と話す。

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